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月よ永遠に
第一章
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                月よ永遠に
 夏目漱石は数多くの作品を残し数多くの言葉を残した、その中にだった。
 月が奇麗ですね、という言葉もあった。この言葉を聞いて日本の首相の私設秘書である池端芳江アフリカ系の肌に黒い目と茶色のロングへア一七八程の背でグラビアアイドルを思わせるスタイルを持つ彼女は言った。
「私思いついたんです」
「一体どうしたのかしら」
 首相である伊東佐知子は池端の言葉に顔を向けた、今は仕事の合間の昼食中でとある店で一緒に野菜を中心とした精進料理を食べている。
「急に」
「いえ、今私夏目漱石の作品を読んでるんですが」
「そうなの」
「学生時代は泉鏡花や三島由紀夫や武者小路実篤を読んでいまして」
「作風はばらばらでも日本の趣が強いわね」
「ですが漱石はイギリスですね」
「イギリス留学もしていたから」
 伊東は漱石のこのことから述べた。
「元々英文学の人でね」
「そうですよね」
「けれどやはり根にあるのはね」
 彼の文学のそれにというのだ。
「何といってもよ」
「日本の文化ですね」
「イギリス留学はいいものではなかったし」
 ロンドンにいて鬱になってしまったという、漱石は鬱や被害妄想に悩まされていたという一面もあるのだ。
「だから尚更ね」
「そうですね、そしてです」
「今は漱石の作品をなのね」
「読んでいます」
 そうしているとだ、池端は伊東に答えた。
「そうしています、それでなのですが」
「お話の本題に入るのね」
「はい、私好きな人がいまして」
「八条君ね」 
 伊東は微笑んで応えた。
「そうね」
「わかりますか」
「わかるわ。貴女の彼を見る目を見ているとね」
 その微笑みのまま話した。
「それでよ」
「そうですか」
「ええ、それで彼が好きだから」
「はい、どうにかです」
「彼に振り向いて欲しいのね、ただね」
 ここで伊東はこう池端に返した。
「こころみたいなことはしないことよ」
「ああしたことはですね」
「その時は何があってもと思っても」 
 好きな人を手に入れたいとだ。
「その後でね」
「後悔しますね」
「先生みたいになるわよ」
 心のその登場人物と、というのだ。親友であるKが想っていた人を自分も想っていて策略で彼から奪う形で一緒になったがその結果Kは死に自分も傷付きそして抜け殻となってしまい最後は自分も自殺する人の様にというのだ。
「ああして何も思わないならかえってね」
「人としてどうかですね」
「そうよ、ああならない様にして」
 そのうえでというのだ。
「恋愛はしていくべきよ」
「人の道を弁えてですか」
「出来るだけ誰も傷付けない」 
 その様にしてというのだ。
「ことを進めていってね」
「成就させるものですか」
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