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兄が切実に欲しいもの
第一章

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                兄が切実に欲しいもの
 根室寿はそれから三日間立ち直れなかった、学校こそ通っていたがどんよりと沈み生ける屍の様だった。
 その兄を見て妹の千佳は小学校の自分のクラスで話した。
「恒例だけれど気持ちわかるわ」
「クライマックス敗退したからね」
「十一ゲーム開いてて後半大失速した相手に連敗」
「しかも相手は巨人」
「おまけに初戦完封次はエラーで負け」
「落ち込むのも当然ね」
「しかもヤクルトの優勝決まった時も守備のミスでだったでしょ」
 千佳はクラスメイト達にどうかという顔で話した。
「だから余計にね」
「お兄さんへこんでたのね」
「三日間立ち直れなかったのね」
「絶対に勝てると思っていたら」
「そんな幕切れだったから」
「試合終わった瞬間暗黒のオーラに包まれてね」 
 そうなってというのだ。
「三日間生きてるだけだったわ、学校に通ってるだけ」
「今シーズン途中までぶっちぎりだったし」
「優勝間違いなしって言われてたしね」
「それがヤクルトに優勝奪われて」
「クライマックスもあの様で」
「第一試合はじまる直前までこう言ってたのよ」
 その兄はというのだ。
「絶対にヤクルトにリベンジだ、今の巨人なんか敵じゃないって」
「もうそれフラグに聞こえるわね」
「それでしかないわね」
「実際負けたしね」
「見事に」
「完封負けしてもね」
 それでもというのだ。
「巨人はもう切り札を失ったってね」
「まあそうよね」
「肝心の菅野さんそこで使ったし」
「今の巨人他にカードなかったしね」
「そう思うわよね、やっぱり」
「それが途中まで勝ってて」 
 それがというのだ。
「エラーからでしょ」
「見事に負けて」
「それも逆転負け」
「それで終わりだったら」
「お兄さん生ける屍になったのね」
「正直負けた瞬間まさかって思ったわ」
 千佳にしてもだった。
「普通勝つわよね」
「あの状態の巨人だとね」
「あれだけ連敗してチームガタガタで」
「変な選手変な経緯でトレードで獲得したし」
「何か首脳陣も妙になってたし」
「あれじゃあね」
「私も思ったわよ、あわよくばカープがクライマックスとも見たし」
 巨人があまりにも調子が悪くてだ。
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