第2部
テドン
旅の真意
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んやりと冷めてしまったスープを眺めていた。すると、
「おい。いつもの食い意地はどうした」
隣に座っているユウリが横から口を挟んできた。いつもそんなに食い意地張ってるわけじゃない、と思いつつも彼のお皿に視線を移すと、珍しい光景が目に入った。
「ユウリこそ、スープほとんど飲んでないじゃない」
「別に、これから飲もうとしてるだけだ」
横目でテーブルを見ると、ユウリの前に出されたスープは、ほとんど手を付けていなかった。見かけによらず大食漢のユウリが食事を残すなんて、珍しい。
だが、今までの彼の様子を思い返してみると、確かにいつもと様子が違う気がした。
……聞くだけ、聞いてみようかな。
変に尋ねて気を悪くするかもしれない。けど、もし何かに悩んでいるのだとしたら、見過ごすことは出来ない。私は意を決して聞いてみることにした。
「ユウリ、何か悩んでる?」
すると、彼はわずかに目を見開いた。そしてすぐに視線を落とす。
「……どうして、そんなことを聞く」
彼のことだ、うるさい、お前に関係ない、とでも言い返されるかと覚悟していたのだが、意外な返答だった。
「いや、なんとなく……。それともまだ体調悪い?」
だが彼は、言いにくそうに俯いたままだ。何か言えない理由でもあるのだろうか?
「別に無理に言わなくてもいいけど……。でも、話ぐらいなら聞くよ?」
ユウリの悩みを聞いて解決できるかはわからないが、話を聞くだけでも力になりたい。
すると、しばらくしてようやくユウリが口を開いた。
「……アッサラームのアルヴィスを覚えているか?」
「え?」
突然、予想外の人物の名前を言い出した。
「もちろん、覚えてるよ。シーラがお世話になった人でしょ?」
バニースーツ姿の男性なんて、早々忘れられるわけがない。
「この前話をしたときに、あいつのレベルを聞いたんだ。……親父と旅をしていた時点で、俺の今のレベルを超えていた」
「えぇっ!!??」
私が驚いた声をあげると、ユウリは大きくため息をつく。
「そんな奴でも、魔王の城にたどり着く前に、戦線離脱したんだ。親父との関係もあったらしいが、自分の弱さが原因とも言っていた」
「嘘!? そんなにレベルが高いのに!?」
「そのときに、親父が魔王に挑む前のレベルも教えてもらった。……レベル三十五だったそうだ」
「……!」
私は乾いた声をあげた。
「アリアハンに旅立つ前、俺は自力で限界までレベルを上げてきた。だから、他のやつらより劣っているとは思わなかったし、旅立ってからも俺は誰よりも強いと思っていた。だが、旅をして分かった。世界は俺が考えているより甘くないんだと」
そう語り始める彼は、いつもの強気な態度とは違い、自嘲めいていた。
「もともと俺は世界を救う気などなかった。ジジイの
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