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俺様勇者と武闘家日記
第2部
テドン
旅の真意
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はないかと、キッチンに立つカリーナさんに尋ねてみた。
「あの、何かお手伝いすることあります?」
 するとカリーナさんは穏やかな笑みを返すと、
「ありがとう。でも、大丈夫よ。ミオさんは休んでて」
 そう言ってスープにいれる材料を次々と切っていく。けれど時折腰を屈めたり、伸ばしたりしているのを見て、無理しているんだと思い、さりげなくお皿を出したり食事を運んだりした。
「ありがとう、ミオさん。お陰ですぐに用意をすることが出来たわ。さあ、食べましょう」
 にっこりと微笑むと、カリーナさんは私の背中を押しながら、椅子に座るよう勧めた。隣に座って頬杖をついているユウリはといえば、どことなく心ここにあらずといった面持ちで、ぼんやりと視線を巡らせている。
「こうして人と話すなんて本当に久しぶりね。それに、こんな若い方たちがここにいらっしゃることなんて巡礼でも滅多にないから、何を話していいかわからないわ」
「なら、私たちの旅の話でも聞きますか?」
 三人揃ったところで食事の前のお祈りを済ませると、私は今までの旅の出来事を話した。カリーナさんはとても楽しそうに耳を傾けてくれた。そして次第に彼女の方からも色々な話をしてくれるようになった。
 テドンのこと、印象に残った巡礼者の話、イグノーさんのこと……。特にイグノーさんのことを話す時のカリーナさんは、こっちまで笑顔になるくらい嬉しそうだった。



 そしていつしか、外のフクロウが静かに鳴き始める時間になっていたことに気づく。
「やだ、ごめんなさい。すっかり話し込んじゃったわね。もう夜も更けてきたし、ベッドの準備をしておくわ。お豆のスープ、まだあるからおかわりしたかったら遠慮なく言ってちょうだいね」
「ありがとうございます!」
 私がお礼を言ったあと、いそいそとカリーナさんが席を離れた瞬間、二人の間に沈黙が広がる。気まずさを感じつつもこちらから話しかけるような雰囲気でもないので、仕方なく口を閉ざす。
 静寂の中、私は黙々と干しブドウを練りこんだパンをかじりながら、いつしかテドンにいた町の人たちのことを考えていた。
 テドンの人は皆私たち……というより新婚夫婦に対してとても優しかった。あどけない笑顔の子供と母親、お客さんへのサービスを欠かさない道具屋の店主、相手を気遣い部屋をあてがってくれた宿のおかみさん……。そんな新婚夫婦を快く迎えてくれた町の人たちは、無惨にも魔王の手によって命を奪われた。
 それほどまでに、魔王というのは脅威的なのか。かつての勇者サイモンやその仲間たちさえも太刀打ちできないなんて、魔王の配下というのはいったいどれほどの強さなのか、想像するだけで身震いしてしまう。
 そう考えているうちに、先程まで美味しく食べていた料理なのに、なんだかこれ以上食べ進めることが出来ず、私はぼ
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