第2部
テドン
旅の真意
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ーナさんは顔をしかめるユウリにそのランプを手渡した。
「? 中に何か入ってるぞ」
ランプのふたを開け、さかさまにすると、中から小さく折りたたんだ紙切れが一枚、ユウリの手のひらに落ちてきた。開いた紙を、私も覗き込んで見てみる。
―勇者へ。オーブを手に入れたければ、最後の鍵を手に入れ、テドンの罪人を開放せよ。
「??」
その奇妙な一文に、眉を顰める私たち。だが、見逃してはならない単語の羅列に、疑心よりも興味の方が湧き起こる。
「どういうこと?」
「さあな。だが、オーブという存在を知っている以上、これを渡した奴らはただの新婚夫婦ではないってことだな」
「ねえ、ユウリ。これって魔王軍か何かの罠かな?」
そうユウリに尋ねると、なぜか彼は感心したように目を見開いた。
「お前でも疑うことができるんだな」
「……なんかすごく馬鹿にされてるような気がする……」
と、ぼそりと文句を呟いてみる。
「だが、テドンをあんな風に滅ぼした奴らが、こんな手の込んだことをすると思うか?」
「……じゃあ、私たちの味方ってこと?」
「さあな。そもそもこのランプを渡したのが二十年近く前なんだ。俺たちのことを知らないはずなのに、こんな的確な指示を出せるなんて、普通の人間には無理だろ。あるいは、預言者でもない限りな」
「預言者!?」
「ああ。だが手がかりがない以上、とりあえずは、その『最後の鍵』について調べる必要がありそうだな」
「そっか……。そうだね」
すると、カリーナさんの方に顔を向けるユウリ。
「それと、ひとつ気になっているんだが、なぜあんたは何年もここに住んでいて無事なんだ? テドンから離れているとはいえ、この辺りは魔物も多い。いつ襲われてもおかしくはないと思うが」
「このあたりは昔から神のご加護により魔物が近づきにくくなっているのです。それに、イグノー様がここにいらしたときに魔物避けの結界を張ってくれたおかげで、年々強大化する魔物の脅威に脅えることなく暮らせるのです」
「賢者はそういうことも出来るのか」
「僧侶と魔法使いの呪文を上手く組み合わせてやったと言ってました」
興味深げにカリーナさんの話に耳を傾けるユウリ。
イグノーさんの賢者としてのすごさに感心していた最中、部屋にある柱時計が低い音で鳴った。気づけばもう夜を回っている。
「あらまあ、もうこんな時間! 疲れたでしょう、今日は泊まっていって下さい。今から食事をご用意しますね」
そういうと、カリーナさんは慌てて席を立ち、再びキッチンへと向かった。
「いいのかな、お言葉に甘えちゃって」
「お祈りでもすれば大丈夫だろ」
椅子に背中を預けながら、ユウリは明後日の方を見ながら言い放った。
とはいえ、ただ待ってるだけというのも落ち着かない。私は何か手伝うこと
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