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レーヴァティン
第二百二十九話 姿を隠しその四

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「やがて誰もが壊れる」
「確かに。人は常に働けません」
「やはり休みが必要です」
「休む時がなければです」
「壊れます」
「そして上様が言われる通りです」
 一番上の者この場合は幕府の棟梁である将軍がというのだ。
「休まれないとです」
「我等も休めません」
「上様が休めと言われても」
「上様が働かれては」
「下の者としては休めない、だから人を休ませたいならな」
 そうして疲れを癒させ英気を養わせそのうえでさらに働いて欲しいと思うならというのだ。
「自分が休むことだ、だが俺は自分が怠けてだ」
「人に働けとは言われないですね」
「それもありませんね」
「左様ですね」
「それ位なら俺が働く」
 他の者に働けという位ならというのだ。
「そうしたことは嫌いだ、だが休めということはな」
「言われますね」
「それは我等にもですし」
「それで、ですね」
「お前達も交代でだ」
 それでというのだ。
「休ませているのだ」
「左様ですね」
「では休ませて頂きます」
「そうさせて頂きます」
「我等も」
「そうしてもらう、幕府も民も働き者ばかりだが」
 このこと自体はいいことだがというのだ。
「働くことも過ぎるとな」
「よくはない」
「疲れて壊れてしまう」
「そうなりますね」
「長く働いてもらうことが何よりだ」
 それが最善だというのだ。
「休みながらな」
「常に働きすぐに潰れるのではなく」
「長い間ですね」
「そうして働いてもらう」
「それが第一ですね」
「そうだ、まして人を使い潰して使い捨てにする」
 英雄はこうも言った。
「そうした奴に仕えたいか」
「ですね、それではです」
「やはり仕えたくはありません」
「使い捨てにされるならです」
「やはりいい気持ちはしません」
「俺も同じだ、命と心あるものならばだ」
 それならというのだ。
「やはり重く大事に用いられたい、人だけでなく犬も馬もだ」
「同じですね」
「使い捨てになぞされたくない」
「決して」
「それが人ですね」
「人を使い捨てにする奴はだ」
 そうした輩はというのだ。
「結局は誰もついてこなくなる」
「自分もそうなりたくないです」
「だからこそですね」
「当然そうなりますね」
「そして誰もいなくなり」
「そうした者は」
「最後は破滅する」
 周りに誰もいなくなりというのだ。
「そうなる」
「左様ですね」
「それが常ですね」
「この浮島でもそうした者はいます」
「商人でも国人でも」
「ですがそうした者はです」
「俺の言う通りだな」 
 まさにというのだ。
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