疾走編
第三十七話 ダゴン星域の迎撃戦(後)
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んだ覚えはないが」
“小官の任務はイゼルローン回廊の警戒任務でございます。この場に小官が居るのは至極当たり前ではないかと愚考致しますが…”
「そ、そうであったな。だが私が呼んだのはフレーゲル男爵、シャイド男爵、シュッツラー子爵の艦隊なのだが。それにイゼルローン回廊の警戒というのなら、ここは叛徒共の領域だ、卿が居るのはおかしいではないか」
“おかしくはありません。軍務省から出撃の許可は得ておられますか?皆様方の出撃は統帥本部のあずかり知る所ではありません。出兵計画にない私的な出撃は慎んで貰わねばなりません。小官の任務には私的に出撃した艦隊の召還、制止の任も含まれております”
「許可を得ていないのは謝らねばなるまいな、されどこのまま退く訳にもいかんだろう、叛徒共にやられっぱなしではな」
“その辺りの事情は小官も存じております。軍務尚書および統帥本部長、ならびにブラウンシュヴァイク公の親書と宇宙艦隊司令長官からの命令も頂いております。”
「…どのような命令だ?」
“読み上げます…『宇宙艦隊司令長官代理としてヒルデスハイム中将、フレーゲル少将、シャイド少将、シュッツラー准将を統帥せよ。共和主義者を僭称する叛徒共に神聖不可侵なる銀河帝国皇帝、フリードリヒ四世の名を以て懲罰を与えよ。宛、銀河帝国軍少将、ウィリバルト・ヨアヒム・フォン・メルカッツ殿。発、宇宙艦隊司令長官、帝国軍元帥、グレゴール・フォン・ミュッケンベルガー』以上です”
「…了解した」
“まもなくそちらに合流出来ると思いますので、合流後直ちに艦隊の再編を行います。では”
地味な初老の男の敬礼と共に映像通信は切れた。我々がメルカッツの指揮下で動くだと?そんなバカな話があるか!
「フレーゲル艦隊より映像通信が入っております。正面スクリーンに…」
「自室で受ける!」
“息災でなりよりです、ヒルデスハイム伯”
「…迷惑をかけた様で済まぬ事をした…この通りだ」
“顔をお上げください、伯。伯父上も一時はお怒りでしたが、この威容です、勝利は間違いありません。お喜びになるでしょう”
「しかし、わざわざ皇帝陛下の名を出さずとも…なんと畏れ多い事か」
“我々に面子がある様に、軍にも体面があるのですよ。メルカッツの指揮?そんなもの、いい返事さえしておれば宜しいのです”
「…豪気だな、卿は」
“なんと弱気な、伯らしくもない。たかが辺境守備の一少将と、我等四人と、どちらが重きを成すか自明の理ではありませんか。勝てばよいのです、勝てば。共に戦える事を嬉しく思いますよ、では後ほど”
…確かに、勝てばよいのだ!我等と援軍を合わせれば三万一千隻、これ程の大軍なら負ける方がおかしい!
公には迷惑をかけてしまったが、勝てば全てが報われ
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