第二章
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「これは」
「ええ、正直驚いたわ」
「そうだよね」
「こんなことがあるなんて」
愛生はまた言った。
「本当にね」
「驚きだね」
「信じられないわ」
愛生はこうも言った。
「まさかお父さんの再婚相手が倫なんて」
「私も信じられないわよ」
倫も言ってきた。
「名字聞いて同じねと思っていたけれど」
「それでもよね」
「健次郎さんの娘さんが愛生だなんて」
「全く、信じられないわ」
「そうよね」
「いい娘さんだよ」
健次郎が小さな声で言ってきた。
「よく働いて真面目で親切でね」
「倫はそうよね。家事も好きだしね」
「会社でも評判の娘だよ」
「ええ、倫はお勧めよ。それにね」
愛生は父に応えつつ倫にも言った。
「お父さん真面目で優しくて暴力もギャンブルもないから」
「お酒好きよね」
「飲んでも静かだし」
それでというのだ。
「結婚して後悔しないわ」
「そうした人よね」
「正直今でも現実受け入れきれてないけれど」
それでもとだ、愛生は述べた。
「結婚すること自体はいいわ」
「そうなんだね」
「それが愛生の意見ね」
「歳の差も確かな愛情があればいいし」
こうも言った。
「それならね」
「そうだね、正直お義父さんの相手の人が愛生のお友達とは思わなかったけれど」
大二郎も言ってきた。
「二人共いい人で相思相愛ならね」
「いいわよね」
「そう思うよ、僕も」
「そうよね、私達は反対しないから」
愛生は結論を出した。
「幸せにね」
「そうなるよ、これから」
「二人でね」
父と友人は愛生に笑顔で応えた、そうしてだった。
二人は暫くして籍を入れた、そして式も行ったが。
愛生は夫と共に二人の晴れ姿を見た、そこにいる義母となった友人は心から幸せそうで彼女の幸せを今は素直に祝えた。だが。
還暦になり自分達の子供達が大きくなって独立してから夫に言った。
「今も二人幸せで仲いいなんてね」
「凄いことだね」
夫も応えた、二人共流石に顔に皺が多くなり髪の毛にもツヤがなくなり白いものが見られて姿勢にも年齢が感じられる様になっている。
「お義父さんは九十になってもだから」
「そうね、二人が今も幸せならね」
「いいよね」
「ええ、歳の差があって友達がお義母さんになってもね」
「そうだね、ただ君はお義母さんとは呼ばないね」
「それはね、どうしても無理よ」
友人を義母ということは今もとだ、愛生は夫に笑顔で話した。そのうえで義母でもあるその友人に今度一緒に美味しいお店に行こうとメールで提案したのだった。
友人の結婚相手は父 完
2021・11・22
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