第三章
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「トレーナーの人に診てもらったらよくないって言われて」
「それでなの」
「元の体重にね」
それにというのだ。
「戻すことになったの、先生もそれまでは優勝考えていたけれど」
「それでもなのね」
「怪我したら駄目だって思いなおして」
そうしてというのだ。
「体重戻すことになったの」
「そうなのね」
「食事の量も筋肉増やす稽古も減らして」
「ダイエットね」
「そうしているの、多分このままいったらお姉ちゃんの次の休みの時にはね」
「元に戻ってるの」
「そうなってるわ、やっぱりその体格に合った体重あるのね」
安代は考える顔で言った。
「多過ぎたらよくないわね」
「私太ったあんた見てすぐに思ったわ」
「そうよね」
「じゃあ元の体重で頑張ってね」
「そうするわ」
こう言って妹は痩せる稽古に励んだ、その彼女を見て安奈はまた母に言った。
「まあ私はね」
「元の方がよかったってよね」
「思ってたしね」
「痩せてよかったのね」
「そう思うわ、最初見て驚いたし」
太った妹をというのだ。
「柔道するにも」
「体格ね」
「そもそも柔よく剛を制すっていうし」
「体重が増え過ぎても」
「どうかって思うけれど」
「今の柔道はそうだから」
体重によるランクがあるからだというのだ。
「あの娘もね」
「そうしたのね」
「そうよ、まあこうした紆余曲折というかそうした経験もね」
母は長女に話した。
「だからね」
「安代が太ったことも」
「よかったかもね、少なくとも柔道ではね」
この武道ではというのだ。
「あの娘は自分に合った体格がわかったわ」
「それはいいことなのね」
「それで怪我もしないでね」
そうならないうちに痩せてというのだ。
「よかったわ」
「そうね、怪我をしないことはね」
「一番よかったわ」
「それはそうね」
安奈もそれはと頷いた、そして柔道に励む妹を見守った。無事元の体重に戻った彼女はそのまま活躍を続けそれで大学に推薦入学まで果たしそれから警察官になって柔道を続けていった。
激太りか 完
2021・11・20
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