第二章
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「太ったらね」
「動き鈍ったのね」
「そうなの。これをどうしていくかよね」
「あんたの背だと前がベストだったんじゃない?」
「そうかな。けれど兎に角ね」
「今はなのね」
「これで行くから」
今の体重でというのだ。
「頑張っていくわね」
「それじゃあね」
安奈は安代の言葉に頷いた、だが。
母と二人きりになった時に母に言った。まだ父は帰っていない。
「急に二十キロ太るなんて」
「驚いたでしょ」
「幾ら部活でもね」
「お母さん最初は二十キロってふうんって思っただけだったけれど」
「いざってなると」
「驚いたわ」
母もというのだ。
「お母さんもね」
「あれだけ太って大丈夫かしら」
「動きにくいわよね」
「お母さんもお父さんも何も言わなかったの?」
「言いたかったけれど」
母は長女に難しい顔で答えた。
「柔道のことでしょ」
「怠けたり只の食べ過ぎじゃなくて」
「そう、武道のことだから」
「部活のことで」
「だからね。安代県でも有名だし」
それだけの強さだからだというのだ。
「それでね」
「言わないの」
「ええ、あの娘もわかって太ってるし」
「余計になのね」
「そうなの」
「どう見ても無理あるけれど」
安奈は首を傾げさせて言った。
「あの娘の背であの体格は」
「一六三センチで八十キロはね」
「あれが筋肉でもね」
それでもというのだ。
「バランス悪いわ」
「しかも急に太って脂肪だから」
「どうなのかしら」
安奈は妹のことが本気で心配だった、それで休みの間家にいて彼女を見ていたが日々それこそ家にいても柔道とそのトレーニングに励み。
次第に身体が締まってきた、すると力士の様な身体になった。
「筋肉になってきたわ」
「よかったわね、けれどね」
安奈は妹のその締まった身体を見て言った。
「無理あるとしかね」
「いや、本当にね」
「その体重だとなのね」
「私勝負したい人がいて」
そうしてというのだ。
「優勝もね」
「出来るからなの」
「自分でも無理あるとわかってるけれど」
それでもというのだ。
「このままね」
「いくのね」
「そうするわ」
「あんたがそう言うなら」
それならとだ、姉は妹の強い決意を見てそれならとなった。そして。
大学の講義がはじまる頃にそちらに戻った、するとだった。
妹が県大会で優勝し全国大会でもいいところまでいったと聞いた、それであの体格でもよかったかと思ったが。
次に家に帰って妹を見ると。
前に会った時より痩せていた、それで彼女に目を顰めさせて尋ねた。
「今度は痩せるの」
「いや、県大会で優勝してね」
妹は姉に話した。
「全国大会いったけれど身体の動きが凄く鈍くて」
「やっぱりそ
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