第2部
テドン
小さな教会
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テドンの町を出た後、私たちは町はずれにあるカリーナさんという女性が住む家を探すことにした。
外は相変わらずの曇り空だが、雲間から時折光のカーテンが差し込み、これから雨が降るということはなさそうだ。
だが、町はずれの家、という以外何も手掛かりがないため、捜索は難航した。ナギの鷹の目の技があればすぐに見つかるのだが、私もユウリも盗賊ではないので自力で探すしかない。
そんな中、幾度かの戦闘を重ねるうちに、徐々にユウリとの連携での戦い方がわかるようになってきた。最初は二人だけで戦うことに不慣れで、少しの判断が遅れただけでユウリにどやされていたものだが、今では何も言われなくなった。ただ単にユウリの体調が万全ではなく、私などに構う程の気力がないだけなのかもしれないが。
ともあれ、戦闘の訓練も兼ねてテドンの町の周りを捜索し続けたのだが、日が傾き始めてもそれらしき家は見つからなかった。
このままでは夜になってしまう、そう思い焦り始めたころだった。
「ねえ、あそこに何か見えない?」
よく目を凝らして見てみると、うっそうと茂った森の木々の隙間から、建物らしきものが見える。ユウリも私もナギほどではないが目はいい方なので、ユウリが見えていれば間違いない。
「……確かに、建物に見えるな」
「やった!!」
「まだ例の女の家と決まったわけじゃないからな。あまり浮かれるなよ」
喜ぶ私を横目に、ユウリが釘を刺す。
確かに、ここはネクロゴンドに近い場所ということもあり、もしかしたら魔物の拠点である可能性もある。私たちは警戒しながらもその建物へと向かった。
建物らしき場所がある森に踏み込んでみると、そこは木々が開けた場所になっており、上手く建物を囲うように伐採されていた。そして中央には、一軒家がぽつんと建っている。
見たところ普通の民家とそう変わらない。けれど家の周りには花壇や畑、少し離れたところには柵で囲われた中にヤギやニワトリなどが放牧されており、皆きれいに手入れされている様子だった。
「これって……間違いなく魔物じゃないよね」
「ああ。しかも今もここに住んでいる感じだな」
そういって、ユウリはためらいもせず家の前まで近づいた。窓をのぞいてみるが、カーテンがかかっており中は見えない。
扉の前まで来てみると、上の方に教会のマークが描かれている。
「ここって、教会なのかな?」
「……そうだろうな」
この状況にいくばくかの期待を抱くも、不安を拭えない私。一方のユウリは、多少警戒しながらも、ためらうことなく扉のノッカーを叩いた。
「おい、誰かいるか?」
しばらく静かだったが、やがてがちゃり、と扉が開いた。
「はい、どちらさまですか?」
「!!」
中から顔を出したのは、修道服を着た妙齢の女の人だった。その優しそうな容貌
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