第2部
テドン
小さな教会
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したいと言ってきたそうですよ。最初はダーマの人々に門前払いされてましたけど、サイモン様のお人柄と心からの説得により、最後にはイグノー様自ら仲間にしてほしいと申し出たんだそうです」
そう言いながらふふっと笑うカリーナさんは、とても楽しそうだった。
それから彼女は、仲間は多い方がいいと言って、サイモンさんが世界中から選りすぐりの冒険者を集めて最終的に四人を仲間にしたこと、魔王の城に行くためにまずオーブを探し始めたこと、六つのうちの五つは集めたが、最後の一つはネクロゴンドにあるという噂を聞き、そこに行った最中に魔王軍に襲われてしまったことを話してくれた。
「つまり、五つのうちの一つはイグノーが持っていたということか。それじゃあ、残りのオーブはそれぞれ他の仲間が持っているのか?」
「ええ。ただ、イグノー様も他の方々の行方は知らないようで、今オーブがどこにあるかは私も知りません」
「……そうか」
その言葉に、重い空気がのしかかる。
「ただ、他の方々がどのオーブを持っていたかだけは教えてくださいました。確か、手に入れたのは、赤、青、紫、黄、緑の五つです。残り一つは詳細すらわかりませんが」
「なんでもいい。些細なことでも教えてくれ」
「まず、サイモン様が持っていたのは『勇気』を司るブルーオーブ。そして、『愛情』を司るレッドオーブを持っていたのは、ノルドというホビット族の戦士だそうです」
「ホビット族のノルド? もしかしてその人って、アッサラームの洞くつに住んでいる、あのノルドさん?」
「ホビット族という時点で、ほぼそいつに間違いないだろうな」
私たちはバハラタに向かう際に出会ったノルドさんのことを思い出した。ホビット族自体数が少ない上に、ノルドという名前だというのなら、なおさら同一人物である可能性は高い。
「ひと段落着いたら、もう一度ノルドのところに戻ってみるか」
一呼吸置き、再びカリーナさんの話を続きに耳を傾ける。
「あとは……、魔法使いのアンジュが持っていたのは、『知識』を司るパープルオーブ。そして、『希望』を司るイエローオーブを持っていたのは、武闘家のフェリオという方で……」
「フェリオ!?」
予想もしていなかった名前に、私は思わずすっとんきょうな声を上げて立ち上がる。
それは、つい最近意外な形で再会した人と同じ名前であり、私がカザーブにいたときに教わった武術の師匠だったからだ。
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