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俺様勇者と武闘家日記
第2部
テドン
小さな教会
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浮かべている姿を見て、私は居た堪れない気持ちになった。
 重い空気の中、カリーナさんは指で眦を拭う。
「すみません。それで、おそらくテドンが滅ぼされる前に、どこかからイグノー様がテドンにいるという情報が漏れたのでしょう。その日の夜、テドンは魔王軍によって火の海に包まれました。そのときにイグノー様が牢屋に閉じ込められていなければ、被害は最小限に食い止められていたはずですが、不運が重なり、あんなことに……」
「なぜイグノーは、牢に閉じ込められていたんだ?」
「分かりません。ですが襲撃のあった数日前、突然身に覚えのない罪状を突きつけられ、そのまま牢に入れられてしまったと、ここを訪れた旅の人から聞きました」
 その言葉に、私は思わずぎょっとした。夕べ聞いた話を突き合わせると、カリーナさんとイグノーさんの仲を裂こうと、町の男性がイグノーさんに犯してもいない罪を擦り付け、カリーナさんの知らない間に彼を牢に入れてしまった。その結果、テドンの町は何の抵抗もできず魔王軍に滅ぼされ、牢の中にいたイグノーさんも、牢屋ごと攻撃されたか、または牢から出られずに餓死してしまったと考えられる。
 カリーナさんは、まさか自分を慕う別の男性によって、イグノーさんが牢に入れられたなんて知るよしもないだろう。
 ユウリも同じことを考えたのか、無言のまま私に目配せをする。そして、ユウリの意図を察した私は、強引に話を切り替えた。
「あの、イグノーさんは魔法使いか何かだったんですか? サイモンさんの仲間だったのなら、さぞ強い方だったんだとお見受けしますが……」
「ええ。あの人はもともと、三賢者の一人でした」
「賢者だと!?」
 ユウリは驚いてるが、賢者という耳慣れない言葉に首をかしげる私。
「えーっと、賢者って何だっけ?」
 そんな私を、ユウリは呆れた表情で見た。
「賢者というのは、魔法使いと僧侶の両方の職業を極めた呪文のエキスパートだ。だが歴史上でも賢者になった者は三人しか確認されず、その三人のことを総称して『三賢者』と言われている」
「そ、そんなすごい人だったんだね」
「ええ。イグノー様は三賢者の一人として、多くの人々を魔物や災いから救って来たと言われています。それだけでなく、サイモン様と旅をする前は、ダーマ神殿の大僧正として活躍されていたそうです」
「え!? じゃあ、イグノーさんって、シーラのお父さん!?」
 シーラのお父さんがダーマの大僧正だったことを思い出し、思わず声を上げる。
「どうだろうな。その頃はもう二十年近く前の話だし、さらに前の代のことかもしれないが」
 ああ、そっか。もしかしたらシーラのお祖父さんとかかもしれないんだ。
「サイモン様も、旅をしながらイグノー様の活躍を耳にしたのでしょう。あるとき突然ダーマにやってきて、イグノー様と一緒に旅を
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