重なる思惑
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る。そこから先の未来は見るに値しないだろ?」
どうやら彼はここまでの未来予知をしていたらしい。それがあったから、俺たちがここまで攻めて来れるようにと部下たちを全員出払っていたんだ。だけど、それを聞いて俺は思わず笑ってしまった。
「なるほど。確かに俺はユウキさんを突き落とした。でもそれは奥の手のために必要なことなんだ」
「奥の手?」
俺の狙いがいまだに見えないことで眉間にシワを寄せるバリーザウィッチ。しかし、その顔はすぐに弛緩した。
「その奥の手が何かはわからないが、この高さから落ちたら彼は助からないぞ?それが君のやり方なのかい?」
「確かに普通に落ちたら助からないですね。でも・・・
こっちにはまだ頼れる仲間がいますから」
そのタイミングで地上から黒い風が舞い上がる。それは城の中にいた俺たちからでもわかるほどの突風で、落下していたユウキさんを守るように地上へとゆっくり下ろしてくれる。
「天神の舞!!」
横目で見た地上には思っていた通り、赤紫色の髪を二つに纏めた少女がいる。彼女の魔法により、ユウキさんは無事に地上へと降りることができたのだ。
「あれは・・・分断されていた・・・!!」
シェリアの姿を見たことで彼は後ろからの殺気に気が付いたようで慌てて振り向く。そこにいたのは黒い冷気を右手に纏わせた金髪の青年。
「永久凍土!!」
「ぐっ!!」
無警戒だったところからの攻撃にガードをするのが手一杯だった彼は地面を削りながら転がっていく。しかし、すぐに体勢を立て直し落下は免れていた。
「私にダメージを与えられる人間・・・なるほど、こいつが噂の・・・」
本来なら致命傷になりかねないほどの威力を秘めているはずのレオンの永久凍土を受けたにも関わらず目立った外傷がない。それだけでこいつの実力が本物であることが理解できる。
「やっぱり来てたんだな、シリル」
「そっちもね。絶対来ると思ってたよ」
横に立ちながらニヤリと笑ってみせるレオン。それに釣られて俺も笑ってしまった。
「「お前ならすぐに城に乗り込むと思ってたよ」」
ユウキさんの攻撃によって離ればなれになってしまった俺たちだったが、それはそこまで気にするようなことだとは思わなかった。なぜなら俺たちが受けてきた依頼は同じもの。つまり、やるべきことが同じなのだから、今後取る行動も似たようなものになることは容易に想像できた。
だから俺たちは手早く準備を済ませ、城へと乗り込んだ。変に時間をかけてしまうとレオンたちとタイミングがずれる可能性が高くなる。その誤差をできるだけ無くすために素早く城へと乗り込んだのだ。
そして極め付きはユウキさんの突き落とし。これは
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