重なる思惑
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こいつの言う通り、皆さんを守るために彼に付いていくのもありだろう。しかし、その言葉が本当なのかわからない。それに、ウェンディを置いていくようなことをできるわけがない。
「何を言っているんだい?それじゃあなんで彼を突き落としたんだ?」
俺がユウキさんを突き落とした理由がわからないバリーザウィッチはますます困惑の顔をしている。
「やっぱり思っていた通りだ」
「何?」
「お前の未来予知・・・完璧ではないんだろ?」
そう言った瞬間、彼の目が大きく見開いたのがわかった。それはこの考えが正解だということを物語っていると考えていいだろう。
「なぜそう思うんだい?」
「ユウキさんたちの話を聞いておかしいと思ってたんだ。なんで攻めてくる時は対処するのに、わざわざその反乱分子を逃がしているのかってね」
「君がここに来るまでわざと逃がしていた・・・とは思えなかったのかな?」
「残念だけどそれは考えられなかったね。あなたが天使だとは思ってなかったし。ただ、もしわかっててもそうは思わなかったと思うよ」
「それはなぜ?」
恐らくこれは彼が納得するために問いかけてきているのだと理解できた。取り繕うと焦る様子も見えなければ、こちらの考えを否定するために問いかけている雰囲気ではない。それはたぶん・・・俺が天使の子だからというのもあるのだろうが。
「俺がこの国に来るタイミングで指示を出しておけば、捉えることは簡単だったはず。だが、それをしなかったということは俺がここにやってくることはわかっていなかったということ。
あなたの未来予知は情報量が多くなればなるほど得られる情報が限られてしまう・・・一部分だけしか見えないものなんだろ?」
「・・・」
バリーザウィッチは何も答えない。それが肯定であるということは、言うまでもないのだろう。
「確かに君の言う通りだ。もっとも、この世界の事象については・・・という制限があるがね」
シャルルが未来予知をもっとも発動したのはエドラスに行った時。彼女もその時はウェンディやナツさんたちを道案内するために無意識に発動していた未来予知を使っていたけど、あの時が一番鮮明にビジョンが見えているようだった。そして彼のこの言葉・・・もしかしたら自分がいる世界以外の未来は多くの干渉を避けるために見えづらくしているのかもしれない。だけど、今はそんなことはどうでもいい。
「そんな欠陥があると思ったから、俺は爆弾を使い人も分散させ、できる限り情報量を増やした。それがうまくいったみたいでよかったよ」
「確かにそれについては素直に脱帽するよ。ただ、君は私の能力を回避できていないんじゃないかな?」
「何?」
「だってそうだろ?私は君が彼を突き落とすビジョンを得た。だからここで待ち、現にそれが起きてい
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