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とある星の力を使いし者
第166話
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自分自身で選んで戦ってきたのに、それすらも星に決められていたのか。
 まるで、ピエロだな。
 ふふふ・・・・あははははははは。」

思わず笑いが込み上げた。
何かが壊れたかのように笑う麻生を猫は黙って見つめている。

「あははは・・・・・はぁ〜。」

笑うだけ笑った麻生は一息つく。
その後だった。
ダン!!、と麻生がすぐ横の壁を思いっきり殴りつけたのは。

「ふざけんじゃねぇぇ!!!!
 俺が歩いてきた道も思いも全部が星が決められているなんて、ふざけんなよぉぉぉ!!!!」

もう一度壁を殴りつける。
壁は穴が空き、周囲にはひびが入っている。

「私は予想と言った筈だ。
 確定ではない。」

「黙れ、そんな言葉がこの俺に通じると思うか!
 星の力を扱える俺に!」

血走った眼で、猫に今までにない殺気をぶつける。

「星の予測はもはや確定だ。
 全ての起源、未来、平行世界の全てを観測して記録している。
 そんな星がその気になれば、全ての人間の人生を操る事ができる。」

麻生は星に人生を狂わされた。
全ての真理を見せられ、人の闇の見せられ、絶望した。
全てに絶望している所を、愛穂達に助けられた。
そして、上条を初めとする多くの人々と出会った。
今まで歩いてきた道は自分の意思で決め、その思いも様々な人に影響を受けてきた。
麻生恭介として生き、星の意思とは全く関係なく、自分の意思で自分の道を歩いていると思っていた。
実際は違った。
全ては星が決めたレールの上を歩いていたのだ。

「お前がどう思うが勝手だ。
 しかし、バルドがあの時介入してきた時点で、この物語は星すら予想できない道を辿っている。」

猫は淡々とマニュアルを読むアナウンスのような口調で話す。

「お前は何がしたいんだ?
 それを俺に言ってどうなる?」

「それが私の役目だからだ。
 今はまだ、私が言っている意味が分からないだろう。
 この言葉はお前だけ(・・・・)に伝えるために、わざわざ人払いをした訳ではない。」

そう言って、猫は麻生に背中を向ける。

「おい、まだ聞きたい事がたくさんある。
 星の守護者とはなんだ?
 ダゴン秘密教団は何が目的なんだ?」

麻生の問いかけに、猫は何も答えない。
こちらに振り向く事無く、猫は地下街の奥の闇に消えて行った。
それと同時に、人の足音や話し声などの生活音が復活する。
人払いが消えたのだ。
そろそろ、すき焼きの鍋が運ばれているだろう。
麻生はその場から動く事無く、ただ拳を強く握りしめるのだった。
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