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剣製と冬の少女、異世界へ跳ぶ
082話 記憶巡り編 とある視点で見る記憶 その9
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えないけど多分イケメン!
そしてもしかして、この人ってあのマーリン……?

『はい。私は望んでこの剣を抜きにまいりました』

セイバーさんは勢いよくその剣を引き抜いた。
抜かれた剣はまるで主人を見つけたと言わんばかりに黄金に輝く光を放っていた。

「選定の剣……カリバーン」

ネギ君の呟き通り、多分そうなんだろうな……。
そして場面は変わりたくさんの兵士がセイバーさんを褒め称えていた。
そんな、どこか王様然としている夢を見ていた士郎さんはふと目を覚まして、今の剣は……と呟く。
でも、まさか……。

「ねぇ、士郎さん。まさかこの時無意識に解析を掛けてたりしました?」
《…………なんのことかな?ただ、あの剣を見てから無性に体が熱くなったのは覚えているよ》

つまり、そういう事ね。
もう投影魔術として目覚め始めていたのかな……?

それから少しして、士郎さんは庭で弓の調整をしているアーチャーさんに話を掛けている。
話を聞くにもうアーチャーさんは傷が癒えていていつでも戦えるという。
つまり、いつ寝返るかもわからない遠坂さんが士郎さんを裏切る可能性もないわけではないという事。
そこで士郎さんは焦りを感じつつ、その場を離れようとして、

『気づいていないようだから教えてやろう。セイバーはあの時宝具を使えば自分が消えると分かっていたはずだ。おそらく最後まで宝具を使う気はなかったのだろう……にも関わらず、宝具を使った理由は一つ。セイバーは自分よりお前を護る事を優先したんだ。それを決して忘れるな……』

アーチャーさんの忠告に、士郎さんは苦虫を噛み潰すような顔をしながらその場を後にした。

「ここが正念場でござるな」
「そうアルネ。アーチャーさんからもああも言われて士郎老師がただ黙っているのはなんか悔しいアル」
「こ、こーいう時って物語じゃなにか逆転劇的な事が起こるものですよね……」
「それかさらに追い込まれるのもありえますですよ、のどか」

みんなもここからどうなるのか不安がよぎってるんだろうね。
わたしとしてはここでイリヤさんが無防備な士郎さんを拉致ると予想しているけど、どうかな……?

士郎さんはいつぞやの公園で一人悩んでいた。
言葉には出さないけど、仕草だけで葛藤しているのが分かる。
そこに、やはりというべきかイリヤさんがやってきていた。
士郎さんは今は話し相手にはなれないとイリヤさんを邪険に扱うけど、イリヤさんは分かっているらしく、

『セイバーが消えかかっているんでしょ?』

と、本命ど真ん中な事を言い当ててきた。
それで慎二さんの殺害を匂わす発言とともに、イリヤさんの瞳が光り出していて、

「まずいわよ!なんか嫌な予感がする!」

アスナが叫んだけど、これは過去。
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