第四章
[1/2]
[8]前話 [1]次 最後
「一体」
「これ程自分達が譲歩しているのにまだこんなことを言うのかと」
「だからどう交渉するかだろう」
「それがわからないのかと」
「譲歩していることがか」
「まだそんなことを言うのかと言って」
そしてというのだ。
「我々は話がわからない人達だと言っています」
「わからないのはこっちだ」
チャーチルは思わず言った。
「どういう考えなんだ」
「それでここに至っては差し違えるしかないと言って」
「待て、その論理だとだ」
「宣戦布告してきました、アメリカにもオランダにもオーストラリアにもです」
「無茶苦茶だ、信じられない」
チャーチルはまた唖然となった。
「こんな連中ははじめてだ」
「それで今アメリカの真珠湾が攻撃されているとか」
「では我々にもか」
「仕掛けて来るでしょう」
「では日本とも開戦だ、しかし」
それでもとだ、チャーチルはこうも言った。
「何が何だかわからないな」
「全くですね」
高官もこう言うしかなかった、そして。
戦争が終わってだ、チャーチルは周りに語った。
「ドイツにもてこずったが」
「日本にもでしたね」
「マレーをいきなり攻められて」
「シンガポールまで失って」
「東洋艦隊も壊滅しました」
「叩きのめされた、しかもその傷でだ」
日本から受けたそれでというのだ。
「もうインドも失う、インドを失うとな」
「もう我が国の栄華もですね」
「終わりですね」
「そうなりますね」
「我々はアジアを完全に失う、日本の力は予想より遥かに上だった」
こう言うのだった。
「あんなに強いとは思わなかった」
「若しアメリカがいなければ」
「我々はもっと酷いことになっていました」
「あれだけの力があるとは」
「あれだけ強いなら早く言って欲しかった」
全く、というのだ。
「まことにな」
「全くですね」
「ドイツも強かったですが」
「日本もでした」
「マレーでは一方的にやられました」
「非常に強かったです」
「お陰でインドも失いました」
「辛いことです」
「日本人が外交を知っていれば」
チャーチルは苦りきった顔で述べた。
「こんなことにはならなかった」
「全くですね」
「彼等が交渉をしていれば」
「外交を知っていれば」
「そうであったなら」
「戦争にならなかったかも知れないですし」
「我々もこうならなかったですね」
周りも言った。
「まことに」
「我々は戦争に勝ちましたが」
「それでもですね」
「多くのものを失いました」
「痛い思いをしました」
「そうなったことを思えば」
とてもというのだ。
「日本には外交を知って思いたい」
「本当にそうですね」
「大英帝国の栄華を潰すまでに強いのですから」
「そこまで強いな
[8]前話 [1]次 最後
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ