鍾乳洞
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はずの足音が、静寂を支配した。
「人?」
その気配に、ハルトは警戒を示す。
美しい青緑の世界。
そこに、一か所だけ生じた白と黒の点。ピエロのような印象を持たせるモノクロの服の人物が、鼻歌を歌いながら歩いてきていた。
「やあ。……君たちが、ここの結界を破ってくれたのか」
その人物は、そう言いながら、今や少し離れた祠に手を伸ばした。
中に見える注連縄部分へ手を翳した彼。
その顔を見た途端、ハルトの顔は強張った。
「お前……! 生きていたのか……!」
「ひどいなあ……松菜ハルト君」
すると、彼の伸ばした手に黒い雷が発生した。
生身の人間には到底できない芸当に対して、ハルトではなくさやかが目を張る。
黒い雷は、祠と注連縄を粉々に砕き、瞬時に粉塵と化した。
「お仕事完了……」
「霧崎……!」
「おや。きちんとそっちで呼んでくれてありがとう」
霧崎と呼ばれたピエロはにやりとほほ笑む。
「まさか、君とここで会えるなんて思わなかったよ。どうやらここは、サーヴァントのような召喚物や、普通の人間は入れないらしくてね。もっとも、他の誰かが入れば、出入り自由になるようだが」
「……何の話だ? まさか、まだ紗夜さんを狙っているのか……?」
「ククク……アッハハハハ!」
ハルトの問いに、白黒の人物、霧崎は頭を抱えて笑い出す。
「いやいや、まさか。彼女の令呪の力は、全て吸い取ったんだ。もう彼女には用はない。それよりも……」
霧崎はハルトへ大きく目を見開いた。
「松菜ハルト君……私は、君に興味が湧いてきた」
「俺に?」
「へえ……ハルト君、人気者だね」
ソラが後ろから茶化してくる。
だが、それを無視しながら、ハルトは警戒を強めた。
「どういう意味だ? 何で俺なんかに」
「君に出し抜かれるとは思わなかったんだ。いくらノアの助力があったからってね。だから……その力……どこに根本があるのかと思ってね」
すると、霧崎の体を蒼い闇が包んでいく。
「私は、君のことをもっと知りたい。だから君にも私のことをもっと知っておいてもらいたいんだ」
一瞬、彼の体に別の姿が重なる。蒼い仮面を付けた、邪悪の化身。
「そういうわけだから……少し……遊ぼうか」
やがて重なった別の姿が消え、霧崎は静かに懐からあるアイテムを取り出した。
十字の金の拘束具が備え付けられた、蒼いそれ。
そのスイッチとともに、拘束具が解除され、それはベネチアンマスクへと変形する。
「来る……!」
『ドライバーオン プリーズ』
ハルトは、霧崎の行動を見て、ドライバーオンの指輪を使う。即座にハンドオーサーを操作し、ベルトからお馴染みの音声が流れ始
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