第一章
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忍女の恋
小早川あい実は癖のある長い黒髪を右で束ねているきりっとしているが優しい光を讃えた大きな目に小さ目の頭を持ち唇は小さいピンク色だ。眉は細く長く一五六センチ位の背で柔らかそうな身体つきだ。大学に通いつつあるアイスクリームショップでアルバイトをしている。
そのあい実は実はだった。
「店長さん好きなの」
「実は」
「そうなの」
「ええ」
大学で友人達に話した、碧のロングスカートに水色のブラウスがよく似合っている。
「そうだけれど」
「言えないのね」
「好きだって」
「告白はなの」
「どうしても」
こう友人達に話した。
「それで困ってるの」
「告白したいけれど出来ない」
「それは確かに辛いわね」
「告白出来ないのはね」
「やっぱりね」
「本当にどうしようかしら」
あい実は俯いて言った。
「私も」
「迷ってるのね」
「あい実ちゃんにしても」
「どうしようか」
「そうなの、けれど」
それでもとだ、あい実は困った顔でさらに言った。
「好きな気持ちはどうしてもね」
「抑えられない」
「そこは難しいところね」
「好きで仕方ないけれど告白出来ない」
「もうどうにもならないわよね」
「この相反する気持ちは」
「だから困ってるの。どうしようかしら」
困った顔のままでだ、あい実はさらに言った。
「ここは」
「難しいところね」
「私もあい実ちゃんの立場なら困るわ」
「一体どうしようか」
「そう思ってね」
「皆そうなのね。本当にどうしようかしら」
あい実はこう言うばかりだった、そしてその中でだった。
大学が終わるか休日は必死にシフトを入れて店長に会う為にそうしてそのうえで働いていた、その店長は。
佐藤拓という小さな目でやや面長の顔、短い黒髪で一八七あるすらりとした長身の青年だった、温和で優しく怒ったところを誰も見たところがない。
その彼と会う為にとにかくシフトを入れた、そしてそんな彼女に佐藤はこう言った。
「小早川さんいつも悪いね」
「どうしてですか？」
「いつもシフトに入ってもらってね」
アルバイトにというのだ。
「うちは場所が場所だからね」
「横浜でも一番の商店街ですからね」
「最近商店街は廃れてるところが多いけれどね」
「ここは違いますからね」
中華街と歩いて行けるそこはそうだった。
「だからね」
「八条アイス黄金店っていいますと」
「昔から忙しいので有名でね」
「東京や大阪のお店にも負けてないですね」
「それだけ忙しいから」
客が多くてなのは言うまでもない。
「いつも入ってくれるのは嬉しいよ」
「そうですか」
「だからね」
佐藤はあい実にさらに言った。
「これからも頑張ってくれるかな」
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