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Fate/WizarDragonknight
人の心を持った怪物
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ピアを受け止める。

「なっ……!」

 ウィザードは、明らかに反応しきれていない。
 可奈美は、ウィザードと人魚のファントムの間に割り込んで、その剣を受け止める。
「……っ! この剣……!」

 人間の剣。
 それは、これまでファントムの剣を受けてきた可奈美が違和感を感じさせるものだった。
 つまり。

「貴女も……人間!?」
「さあね?」

 人魚のファントムは、そのまま背中の水色のマントをはためかせ、素早い突き技を放ってくる。

「っ!」

 レイピアという剣を活かした早業。
 可奈美はそれを全て防いでいくうちに、だんだんと違和感が芽生えていった。

「これ……もしかして、どこかで会った……?」

 だが、人魚のファントムはそれに応えない。
 水を蹴るように、足技が可奈美を襲う。
 そのまま可奈美は蹴り飛ばされ、川岸のベンチを押しつぶした。

「があっ……!」

 悲鳴を上げながら、可奈美は起き上がる。
 その時、グレムリンを切り払ったウィザードが、人魚のファントムとの間に割り入る。

「待って! どうして……?」

 それ以上は口にできず、ウィザードは口を噤む。
 人魚のファントムは、それでもウィザードへ容赦なくレイピアを振るっていく。

「どうしてって……言ってるだろ!」

 風のウィザードは、レイピアを足場に跳ぶ。人魚のファントムの目の前で回転、そのまま回転蹴りで大きくバランスを崩す。
 だが、地面に倒れた人魚は、そのままその姿が砕ける。

「消えた!?」
「違う! 地面に潜ったんだ!」

 ウィザードはそう言いながら、エメラルドの指輪をサファイアに入れ替える。

「へえ……あのファントム、僕と同じ能力を持っているんだね」
『ウォーター プリーズ』

 グレムリンの言葉をバックに、ウィザードの頭上に現れた、緑の魔法陣。それは即座に、青い水のそれに書き換わっていく。
 そうして、風から水のウィザードへ。それを合図に、人魚のファントムは地中からレイピアをもって襲ってくる。

「だったら……!」
『リキッド プリーズ』

 ウィザードの体は、瞬時に液体になる。
 人魚のファントムを追いかけるように、ウィザードも川岸の地面へ飛び込んでいく。

「ハルトさん……!」

 やがて、地中で戦う音が、どんどん遠くなっていく。
 深く、寄り深く。地表より逃げるように、ウィザードと人魚のファントムは、どんどん沈んでいくようだった。

「おやおや? ハルト君、待ってよ!」

 グレムリンもまた、地面へ潜っていく。
 ただ一人取り残された可奈美は、ただ、誰もいなくなった川岸に突っ立っていることしかできなかった。
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