人の心を持った怪物
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『チョーイイネ キックストライク サイコー』
発生した、風の魔法。
それは、どんどん色濃く、右足に集っていく。
右足を上に飛び、ウィザードを追いかけるように竜巻が発生していった。
「ハルトさん……?」
ファントムとはいえ、見知った顔のはずでは、と可奈美が疑問に思うのも束の間。
風のキックストライクは、地上より噴出した水流によって押し流されていった。
「なっ!」
「うわっ!」
ともに地面に転がる、緑の異形たち。
可奈美が今の水流の発生源に目を移せば、そこにはさらに別の異形の姿があった。
「新しいファントム!?」
人魚のファントム。
それは、そうとしか言いようがなかった。
青い、水のような体のファントム。顔はそれぞれ楽器のように穴が開き、腰には同じく水を布地にしたようなその姿は、まさに美しい女性のイメージを彷彿とさせた。
人魚のファントムは、しばらくその手にレイピアを掲げて、やがて可奈美を、そしてその直線状のグレムリンを指した。
「来る!」
可奈美がそう直感したと同時に、それは現実のものとなった。
人魚のファントム、そのレイピア。それは、どちらかと言うと指揮棒のように振るわれた。
すると、彼女の周囲に、地下から水が湧きだしていく。地下水そのものが人魚のファントムの意思の通りに動き、また形を変えていく。
「あのファントムは……!」
水の塊をよけながら、ウィザードが呟いたのを可奈美は聞き逃さなかった。
「ハルトさん? あのファントムも知ってるの?」
「……」
だが、ウィザードはそれには答えず、ウィザーソードガンの手を開いた。
『キャモナスラッシュシェイクハンド キャモナスラッシュシェイクハンド』
「ハルトさん!」
『ハリケーン スラッシュストライク』
「可奈美ちゃん伏せて!」
緑の風を纏ったウィザーソードガン。それは、可奈美が伏せると同時に、空間全体を引き裂いていく。
水たちは切り刻まれ、グレムリン、更には人魚のファントムにも斬撃として襲い掛かる。
「そんなの、あたしには通じないよ。魔法使いさん!」
人魚のファントム___声色が、ずいぶん可奈美と同年代に感じてしまう___が、ウィザードへ襲い掛かる。
「なんで……なんで来た!?」
ウィザードは強い語調で怒鳴った。
「何もこっちから触れる気はなかったけど……ここまでくるんだったら、俺だって倒さなくちゃいけなくなるだろ!」
「話を聞いてたら、ちょっと確かめたくなったんだよ。だって、あのファントム、要はあたしと同じなんでしょ?」
「違う! 全然違う! アイツは……」
「ハルトさん!」
可奈美は横から千鳥でレイ
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