人の心を持った怪物
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ィザーソードガンを取り出す手筈のウィザードだが、今回彼が取り出したのは、ピンクの棒。
「可奈美ちゃん!」
それを手渡されるまで、可奈美はそれが自らの分身たる千鳥だと気付かなかった。
「可奈美ちゃんも! 戦って!」
「え? う、うん……」
可奈美は戸惑いながらも、千鳥を抜く。
赤いラビットハウスの制服のまま、可奈美の体は白い写シに包まれていく。
「へえ……君、刀使だったんだ?」
そんな可奈美の姿を見て、グレムリンがせせら笑った。
「話は結構聞くけど、実際に見るのは初めてだなあ。刀使。今漏出問題で話題沸騰中だよね」
「あなた、どうして……? 人間と同じように見えたけど……」
「当たり前だよ!」
グレムリンは、その言葉とともに可奈美と打ち合う。
刀使もかくやという速度に、可奈美は驚きながらも受け続ける。
「この剣……! 迷いもない、普通の剣と同じ……! これってもしかして……!」
「そう! 僕は人間だよ!」
グレムリンは高らかに告げた。
「人間……!? ファントムが……!?」
「ハルト君から僕のこと聞いてないの? 僕は、人間のままファントムになったんだよ!」
グレムリンの刃が、可奈美の首を狙ってくる。
その衝撃を体で感じながら、可奈美は目を大きく見開く。
「これ……嘘じゃない……! ハルトさん!」
可奈美の頭上を跳んできたウィザード。グレムリンへ唐縦割りを放った彼へ、可奈美は問いかけた。
「本当なの? あのファントムが、人間って……」
「……今は、ファントムだ……」
「でもッ! 人間の心を……それじゃあ、コヒメちゃんと同じ……!」
「奴は、もう人として許されないだけのことをやってる! ここで見逃すことなんてできない!」
「でも……!」
「アイツを見逃したら、今まで俺たちが手を下してきたことが無意味になる!」
ウィザードの手が、少し震えていた。
「フフフ……でも……僕が人間なのは、変わらないよ!」
グレムリンは、その目を光らせる。
すると、不可視の光線が、ウィザードの体から火花を散らした。
「ぐあっ!」
「ハルトさん!」
転がっていくウィザード。だが、彼の心配をする間もなく、グレムリンがまた可奈美との打ち合いに持ち込んでくる。
「ああ……でも残念だなあ……?」
「残念って……何が?」
「もう少し髪が長かったらなあ? 僕、こう見えても美容師なんだよ」
グレムリンは背中を反らして可奈美の剣を避ける。そのままずぶずぶと地面に潜っていく彼へ、可奈美は気配を探った。
「っ!」
その気配は、右下。千鳥を持ち替えて、防御の体勢に入る。
千鳥から伝ってきた衝撃。明らかに可
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