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したかったことをして
第一章

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                したかったことをして
 国崎家は百田家から救い出した二人の赤ん坊を暫く家で預かることにした、それで一家で育てたが。
 夕食を作っている由里子のところにだった、ふわりがケージから出て来て鳴いてきた。
「ワンワン」
「どうしたの、ふわり」
「ワンワン」
 こっちに来てという顔でリビングの方に向かって振り返って来た、それで由里子もだ。
 ついていくと里菜が泣いていた、それで由里子はあやし。
 ミルクをあげた、そして文太が帰ると。
 祈里が泣いていた、文太はそれがどうしてかと思ったが。
「ワンワン」
「おむつか」
 ふわりはおむつを咥えて彼のところに持って来た、それでだった。
 文太は祈里のおむつを替えた、こうしたことがあり。
 由里子は夜に夫にリビングでふわりを見つつ話した。
「ふわりって賢いと思っていたけれど」
「ああ、かなりな」 
 夫もこう言った。
「俺達が思っていたよりもな」
「賢いわね」
「しかも性格もな」
 これもというのだ。
「いいな」
「それもいいと思っていたけれど」
「思っていた以上にな」
 こちらのこともというのだ。
「いいな」
「そうね」
「うちは浄土宗だがな」
 宗教はそれだがというのだ。
「ふわりは天使みたいだな」
「そこまでいい娘ね」
「ああ、本当にな」
「そうね、こんないい娘いないわ」
 母は彼女を見つつ話した。
「本当に」
「全くだな」
 夫もその通りだと頷いた。
「この娘は」
「そうよね」
「ああ、けれどな」
「あの人達はね」
「そんなふわりを捨てたんだ」
 そうしたことをここでも言った。
「五月蠅いだのもういらないだの言ってな」
「完全におもちゃ扱いにして」
「そしてな」
 そのうえでというのだ。
「保健所に捨てたんだよ」
「そうよね」
「けれどそのふわりはな」
「いつも自分の妹達を見守っていて」
「そして俺達を助けてくれるな」
「とても賢くていい娘ね」
「あれだな」
 夫はこうも言った。
「屑に天使のことはわからないんだ」
「最低な人達に最高のものはわからないのね」
「そうだ、餓鬼に極楽のことがわかるか」
 文太はこうも言った。
「だからな」
「あの人達はふわりのこうしたこともわからなかったのね」
「ただおもちゃとしか思っていなかったからな」
「それで遊んで新しいおもちゃが手に入ったらぽい、で」
「その賢さや性格を見るなんてな」 
 そうしたことはというのだ。
「全くな」
「なかったのね」
「そうだったんだ、こんないい娘が他にいるか」
 文太もふわりを見た、そうして妻に話した。
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