第二章
[8]前話
ふわりは二人のところに来ていた、そして尻尾を思いきり振ってそれぞれの顔を舐めた。由里子はそのふわりを見て気付いた。
「そうね、ふわりにとってね」
「二人は妹だからな」
「そうだったわね」
「だからな」
文太もそんなふわりを見て言った。
「今は再会をな」
「喜んでいるのね」
「まさか会えると思っていなかっただろうしな」
「そうよね、別れたのに」
「あの連中のせいでな」
「そうなっていたのがな」
それがというのだ。
「また会えたんだ」
「嬉しい筈よね」
「二人共別の家に入るが」
それでもというのだ。
「近くだからな」
「いつも会えるわね」
「そうなる」
こう妻に話した。
「これからはな」
「よかったわね」
「ああ、じゃあ暫くふわりをそのままにしてやるぞ」
「再会出来て喜んでいるし」
「そうするな」
「わかったわ」
由里子は夫の言葉に頷いた、そうしてだった。
ふわりをそのままにした、ふわりは二人の顔をそれぞれ舐め回した後で。
その後でだ、洋介が帰って来るまで二人の傍で寝てちょこんと座っていた。それで家から帰った洋介はそんな彼女を見て。
「ふわりよかったな、妹さん達と再会出来て」
「ワンワン」
ふわりは洋介に顔を向けて鳴いて応えた、尻尾も振って。
そのふわりを見てだ、洋介は父に言った。
「ふわりにとってもよかったな」
「ああ、あいつ等から二人を助け出してな」
「親になる資格のない奴等は親じゃなくなってか」
「二人は本当の親のところに行くんだ」
「お姉ちゃんとも再会してな」
「親は血でなるものじゃないんだ」
父は強い声で言った。
「心、絆でな」
「なるものなんだな」
「命をおもちゃとしか思わない奴が親になれるか」
先程よりも強い声だった。
「そして命を平気で捨てるならな」
「尚更だよな」
「なれるものか、だからな」
「親じゃなくなったんだな、二人共」
「そうだ、そしてな」
父はさらに話した。
「これからは姉妹でな」
「仲良くだな」
「いつも会えるからな」
「これでいいな」
「ああ、俺もそう思う」
息子にふわりを見つつ話した、そしてだった。
ふわりの頭を撫でた、するとふわりはまた尻尾を振った。この日彼女はずっと妹達と一緒にいたが一家はそんな彼女を見て笑顔でいた。
姉妹の再会 完
2021・10・24
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