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『外伝:赤』崩壊した世界で大剣豪とイチャコラしながら旅をする
剣交-しんけんしょうぶ-
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時に、武蔵がまず一撃を浴びせた。

「あら?」
「もしかして、戦いながら別のこと考えてなかった?」

一撃、とは言っても本当にかすり傷程度。
彼女の縦セーターを切り裂き、脇腹にほんの僅かな切り傷を作った。
どうやって一撃を加えたか、
カンタンだ。

(へぇ…まだ速くなれるのね。)

今よりもっと、早く動いただけの事。

「人間ならこの程度って思ってたんじゃない?しかし侮ることなかれ!!私が…お前の目の前にいる英霊が誰だか忘れたか!!」
「…。」

にんまり。
伊吹童子がそう笑う。
指で撫でた傷はあっという間に塞がり、そしてどこからともなく彼女をセイバーたらしめる得物を抜いた。

草薙剣(くさなぎのつるぎ)

それが、彼女の得物。
八岐大蛇の尾から取り出されたと言われるそれ。
彼女の身の丈にすら匹敵しうる大きさの大剣は、神々しい光を放ちながら伊吹童子の手に握られた。

「あーあ、これ気に入ってたのに。」

傷は治っても衣服は治らない。
残念そうな顔で伊吹童子は切れた箇所をさすり、そしてゆっくりと顔を上げて武蔵を見下ろす。

「やっと見たわね、カミサマ…!」
「適当にあしらって怖がらせて返り討ちにしようと思ってたけど、気が変わったわ。」
「…!!」

瞬間、空気を斬る音。
咄嗟に武蔵は危険を予知し、二刀を前に出したがそれでも彼女は大きく吹き飛んだ。

そして遅れてやってくる、強烈な衝撃波。
突風のようなそれに思わず顔を覆ってしまう。

「武蔵…!」

大きく距離を離されたところに武蔵は着地するも、既に伊吹童子はすぐそこにまで迫っていた。

「…ッ!」
「ほら、見せて頂戴?お姉さんをその気にさせたんだから、死ぬ気でぶつかって来ないと死んじゃうかも?」

草薙剣が振るわれ、武蔵は再び受け止める。
火花が散り、がちがちと音を立てながら鍔迫り合いの状態になる。
伊吹童子はずっと口元に笑顔を浮かべたままではあるが、対する武蔵は苦悶の表情を浮かべている。
おそらく、彼女の剣を受け止めたことによる余波か。
まともに受け止めたせいで腕に想定以上の負担がかかっているんだろう。

「いいわね…この感覚…!」
「!」

押し負ける。
そう思っていたが武蔵はそれを弾いて返す。
ガラ空きになった胴に一撃を加えようとするも、それはやはりすんでのところで阻まれてしまう。

「久しぶり…ううん…こうやって追い込まれてギリギリの戦いっていうのかしら!この世界に来て初めてかもね!!」
「あらそう?」

確かに、俺が武蔵に助けられてからこうしてここまで共に旅をしてきたが、武蔵は今まで特にこれといった苦戦を強いられることはなかった。
どんなモンスターだろうが、葛城財
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