第三章
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「頑張ってね」
「やればいいのね」
「普段もね」
「そうなのね」
「お母さんの皺は隠せる皺だし」
メイクでというのだ。
「色白で姿勢もいいから」
「ちゃんとしたらなの」
「充分よ、十歳は若く見えて」
昭子はさらに言った。
「三割奇麗になってるわ」
「そうなのね」
「だからね」
それでというのだ。
「普段からよ」
「そうしたらいいの」
「義姉さんもね、本当にね」
彼女のことをまた言った。
「メイクしたら。義姉さんは特にね」
「穂香さんは」
「二十五だから。まだまだだから」
それでというのだ。
「ちゃんとしたらいいのに」
「メイクして服もなのね」
「そうしたらね」
母とこうした話をしつつ義姉を待った、そして。
義姉が来たのでやれやれと思いつつ彼女に顔をやった、それでちょっとは華やかになったのかと見てだった。
その瞬間に硬直した、見れば。
眼鏡を外して切れ長の優しい垂れ目で唇は薄く大きめで薄紅色だ。きめ細かい白い雪の様な肌に黒く細く奇麗なカーブを描いた眉を持ち。
黒いさらさらとした豊かな髪は腰まで絹の様に伸びている。白のロングスカートと紺のブラウスから昭子ではとても太刀打ち出来ないまでのスタイルが出ていた。
その義姉を見てだ、昭子は唖然となった、そして親戚全員がだった。
「おいおい、凄いな」
「物凄い美人だな」
「清重の奥さんか」
「こんな奇麗な奥さんなのね」
「はじめて見たけれど凄いな」
「な、何よ義姉さん」
昭子も唖然として言った。
「滅茶苦茶美人じゃない」
「お母さんもはじめて見たわ」
母も驚いていた。
「穂香さん奇麗ね」
「奇麗なんてものじゃないわよ」
昭子は母に言った。
「もうカリスマよカリスマ」
「そこまで凄いっていうのね」
「そうよ」
まさにというのだ。
「今の義姉さんは」
「いや、まさかね」
「あそこまでなんてね」
「穂香さんってメイクしたら変わるのね」
「私なんか足下にも及ばないわ」
昭子は素直に敗北を認めた。
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