第二章
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「本当に」
「そうね、ただ見た目だとね」
ここで桜花はその大きな目をはっきりと開いて言った。
「別にね」
「シルクと変わらないわね」
「全くね」
「けれどこれがね」
「シルクじゃないのね」
「嘘みたいよ」
桃花はそのドレスを見つつ言った。
「これが牛乳で造られてるなんで」
「あれでね」
「着心地いいわよ」
「そうなの」
「私としてはシルクよりもね」
「そんなにいいのね」
「ええ、だからお姉ちゃんもね」
次に式を迎える桜花もというのだ。
「このドレス着てね」
「そうするわね」
「一生の思い出になるわね」
桃花は笑ってこうも言った。
「牛乳で造ったウェディングドレス着て結婚式なんて」
「そうよね、昔じゃ考えられないことよね」
「それでシルクと違って安いから」
「牛乳から造るとね」
「それは安いわ」
「普通に売ってるしね」
牛乳はというのだ。
「だから安いわね」
「そうよね、それじゃあね」
「そのドレス着て」
「今からね」
「一生の晴れ舞台に出るのね」
「そうするわ」
姉にウェディングドレス姿で出席した、そうしてだった。
桃花は人生で最高の日を過ごした、その後で桜花も。結婚式を終えた二人はその後で姉妹で話した。
「贅沢でなくてね」
「お金もその分節約出来て」
「それで着心地いいならね」
「もう最高よね」
「シルクじゃなくてもいいわね」
「ウエディングドレスは」
「牛乳でも」
それで造ったものでもというのだ。
「充分以上に素敵よ」
「本当にそうよね」
姉妹であの時のことを思い出しながら話した、それは二人にとって最高の思い出となった。純白のウェディングドレス牛乳で造ったそれを着たことは。
シルクでなくミルク 完
2021・10・22
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