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娘の顔が
第一章

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                娘の顔が
 古賀夏樹は娘の茉祐、十一歳で奇麗な顔立ちの彼女の顔を見て妻の芳恵に言った。
「どんどん親父に似てきてるんだよな」
「お義父さんに?」
「お前を紹介しようと思ってたらその直前に飲酒運転で死んだな」
「そうなのね」
「最低な親父だったよ」
 夏樹は苦い顔で言った、切れ長の奥二重の目で細面で色白である。黒髪は豊かで清潔にカットされていて唇は引き締まっている。長身ですらりとしている。
「本当にな」
「よく言ってるわね」
「酒に博打に女にで」
「暴力もよね」
「俺もお袋もどれだけ苦労したか」
 その父親のせいでというのだ。
「本当に」
「けれどもういないでしょ、お義父さん」
 芳恵はこのことを言った、背は一五二程で肉感的なスタイルである。やや丸顔で愛嬌のある顔立ちで黒髪を短くしている。
「だったらね」
「そう思ってたけれどな、維盛と吉能はそれぞれ俺とお前似なのに」
 最初に生まれた長男とその次に生まれた長女を見ればそうだった。
「茉祐はな」
「お義父さんそっくりなのね」
「お袋も言ってないか?」
 夏樹から見て母にあたる彼女もというのだ。
「あいつはな」
「お義父さんに似てるって」
「そっくりってな」
 見ればだ、茉祐は。
 大きなそしてやや切れ長の目ではっきりとしている、眉は細く長く唇は引き締まっている。顎の先が尖った面長の顔で黒髪をロングにしている。唇の形もよく鼻もである。まだ子供だがジュニア五ドルにもなれそうだ。
 だがその整った顔を見てだ、夏樹は言うのだった。
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