第四章
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「そうだったな」
「お泊りしてね」
「そうしてだね」
「ここのホテル凄く設備揃ってるし」
「それじゃあ」
「入ろう」
酔っているにしてもかなり甘えた様子でだった。
女は自分の方から誘った、だが。
ここで浜名と目が合った、その瞬間。
女も浜名も硬直した、だがそれは一瞬で男の方から言ってきた。
「入るんだよね」
「う、うん」
女は咄嗟に我に返って彼に応えた。
「それじゃあね」
「そうしようね」
女は彼に連れられてホテルに入った、そうして一人残った浜名は一人家に帰った。だが朝起きるとだった。
出勤の電車の中でスマートフォンが鳴った、ラインでだったが。
その中で由紀は彼に言ってきた。
「見たわね」
「居酒屋の時もな」
「わかってるわよね」
怒っているスタンプ付きで言ってきた。
「昨日のことはね」
「言うなって言うんだな」
「そこで脅したらやり返すから」
「言わないから安心しろ」
由紀にラインで告げた。
「俺はそんな趣味ないからな」
「ならいいわ」
「ああ、しかしお前プライベートは」
「会社とは別だからいいでしょ」
スタンプはヒステリーを起こした様なものだった。
「犯罪でもないしまー君とは不倫でもないずっと付き合ってだし」
「プライベートと会社では違うってことだな」
「そうよ、同棲してるしね」
「っていうと家だとそうか」
「そうよ、悪い?」
「そこで悪いって言ったら切れるだろ」
「当たり前でしょ、ちなみ今私まー君がお風呂入ってる間にあんたに言ってるわよ。まー君も知ってるから」
ラインでやり取りすることはというのだ。
「疚しいことないからね、まー君一筋だし」
「それで彼氏にはあんなのか」
「いつもね、会社の私とは違うのよ」
「それで会社の誰にも言うなっていうんだな」
「そうよ、わかったわね」
「だから言わないって言ってるだろ」
「じゃあいいわ、それじゃあお仕事頑張ってね」
こう言ってラインを切ってきた、浜名はやり取りを終えてからスマートフォンを収めた。そして一年後由紀が妊娠して結婚すると聞いて会社の誰もが驚く中で彼だけは冷静だった。
そのうえで彼女の夫と息子が由紀の家に招かれた会社の者達がとても優しくて穏やかでいつも笑顔な奥さんでお母さんと聞いて驚くのを見ても彼は驚かなかった。それはあの時の彼女を見て既に知っていたからだ。そうして妻の啓子に言った。
「会社と家で別人の人っているな」
「あなたの会社にもいるのね」
「ああ、どっちが素顔かわからないけれどな」
こう言うのだった、そして家で妻と一緒の時間を過ごすが彼は会社でも家でも特に変わることはなかった。
家ではべたべた 完
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