第三章
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彼氏と思われる相手にやたら甘えていた、その口調も。
「美味しいね、ここのお料理ね」
「そうだよね」
「あたしまー君と一緒だとね」
相手をじっと見て向かい合わせでなく隣に寄り添って言っていた。
「何でも美味しいけれど」
「それでもなんだ」
「ここのお店のお料理も美味しいから」
「案内してくれたんだ」
「そうなの」
こう言ってだ。うずらの卵を箸に取ってだった。
それを彼に差し出してこう言った。
「あ〜〜〜んして」
「いいのかな、人が見てるのに」
「プライベートだし酔ってるわよ、皆」
「それじゃあ」
「はい、食べて」
とろける様な声で言ってだった。
彼に食べさせた、そうして彼にこう言った。
「あたしにもして」
「あ〜〜んってだね」
「うん、それじゃあね」
「あ〜〜ん」
実際に口を開いた、啓子はその様子を見て浜名に笑って話した。
「あのカップルかなり酔ってる?」
「あ、ああ」
浜名は女の方を見ながら硬直しつつ応えた。
「そうだよな」
「飲んでる勢いもかなりだし」
「二人共ワインどんどん飲んでるな、けれど」
「けれど?」
「いや、何でもない」
本当に言いたいことは言わなかった、いや言えなかった。それで話を誤魔化す為にお品書きを見て言った。
「次何飲む?」
「そうね、またビールでいく?」
「そうするか」
「そうしよう、食べるのはじゃがバターよくない?」
「じゃあそっちにするか」
こう話してだった。
二人で飲んで店を後にした、その時例のカップルを見ると相変わらずべたべたして飲んで食べていた。
浜名は居酒屋で飲んだ後は啓子を家まで送って自宅に帰った、その帰り道にホテル街を通ったがそこでまただった。
そのカップルを見た、女の方は男の方に抱き着いて言っていた。
「優しくしてね、いつもみたいに」
「明日大丈夫?」
「大丈夫よ、明日お休みだし」
「あいつ明日有給だったよな」
浜名の中で話がつながった。
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