昔からの知り合い
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か、さっきもハルトさん、すごい顔でラビットハウスを飛び出していっちゃって……」
「ん? まあ、ちょっとね。喧嘩別れだからなあ……」
「喧嘩別れ?」
その疑問にも、青年は答えることはない。
そのとき。
「可奈美ちゃん!」
松菜ハルト。
息を切らしたまま、数段上の段差からこちらを見下ろしている。
彼の目線は、まずは可奈美。やがて、青年に移っていく。
ハルトが青年を捉えると、すぐにその表情が歪んでいく。
「やっぱりお前か! ソラ!」
ソラ。
そんな青年の名前が、ようやく可奈美に分かった。
「ハロー! ハルト君! 久しぶり!」
肝心のソラは、そんな風に右手を挙げた。どこにでもある、普通の挨拶。だが一方で、ハルトは穏やかではない。
「可奈美ちゃんから離れろ!」
あんな怒声、聞いたことがない。
だが、ソラはそんなハルトに臆することなく、クスクスとほほ笑む。
「そんなに怖い顔しないでよ。折角会えたんだから、積もる話だっていっぱいあるでしょ?」
「お前と話すことなんてない……! お前に対してあるのは……ただひたすらの殺意だけだ!」
ハルトがそんなことを口にするのか。
そんな事実に驚愕したせいか、可奈美は反応が遅れた。
「おおっと。僕にそれ以上近づかない方がいいよ」
いつの間にか背後に回った、ソラと呼ばれた青年。可奈美が何より驚いたのは、刀使として鍛えてきた肉体を、彼があまりにも素早く捕まえたことだった。右手を縛り上げ、完全にその動きを封じる。
「うっ!」
「可奈美ちゃん!」
「僕のことは知ってるよね? ハルト君……」
ソラがそう言うと同時に、可奈美の視界の端より、銀色の刃物が現れる。
「えっ?」
鋏。
背後から可奈美を動けなくしたソラが、可奈美の顔近くにハサミを見せていたのだ。
「ダメだよハルト君。この子は人質なんだから。指輪なんて使わないでね? 僕、君のことだったら何でも知ってるんだから。フフフ」
可奈美の目の前で、ハサミが何度も動く。
それを見て、可奈美はむしろ、刃物の動きばかりに気を取られていった。
「さあ……この子も、こんなに怯えているよ? ハルト君……」
「……怯えて?」
「だって見てよ。この子、こんなにびっくりして、僕の鋏を見つめちゃってさ……」
ハルトの疑問の声は、可奈美には届かない。
可奈美はじっと、ハサミの刃の部分……日光に反射する部分を見つめていた。
そして。
___鋏って、近くで見ると剣みたいだな___
「それ以上近づくと、僕……何をするか……」
「せいやっ!」
ソラがそれ以上何かを言うよりも先に、可
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