昔からの知り合い
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出す。
そのまま、ハルトへ電話をかけるものの、一向に出る気配がない。
「ハルトさん、どこ行ったんだろう……?」
やがて、細い通路を通り抜けて、無数の通路を渡り。
「あっ……」
いた。
先ほどの、オシャレな恰好をした青年。
帽子が特徴の彼は、口にガムを膨らませながら、川岸に突っ立っていた。両手をポケットにいれたまま、退屈そうに対岸を眺めている。
ガルーダを背中に回し、可奈美は恐る恐る彼に声をかけた。
「あ、あの……」
可奈美が言葉を口にしたと同時に、ガムが破裂する。
「ん? おやおや? 君はさっき、ラビットハウスにいた子だよね?」
口にこびりついたガムをなめとり、青年は可奈美へほほ笑んだ。
「はい。衛藤可奈美です。さっきハルトさんが帰って来たから、そのことをお伝えに来ました」
「へえ? わざわざ来てくれたの? ありがとう、可奈美ちゃん」
青年はニコニコ笑顔で両手を後ろに組み、可奈美へ近づく。
だが。
「あ痛っ!」
彼の声は、鋭い悲鳴になる。
可奈美の後ろから飛び出したガルーダが、青年の顔面へ体当たりをしていた。ガルーダはそのまま、コンコンと連続で青年の頭を叩き続ける。
「痛い痛い痛い! ……ああ! 君は!」
涙目になりながらも、青年はガルーダの姿に目を輝かせる。
「フフフ、久しぶり! 元気?」
それに対し、ガルーダは鳥の鳴き声で叫ぶ。
レッドガルーダの意思が分かるわけではないが、可奈美にはその声は、敵意に満ちているものに聞こえた。
「フフ、相変わらず優秀な使い魔っぷりだね。今回は、この子のお守りかな?」
だが、ガルーダは攻撃の手を緩めない。それどころか、より苛烈になっており、青年へ徹底的な体当たりを繰り返していく。
「ちょっと……いい加減にしてよ!」
とうとう堪忍袋の緒が切れたのか、青年はガルーダを弾き飛ばす。
可奈美の足元に転がって来たガルーダ。再び青年へ攻撃をしようとするガルーダを、可奈美は捕まえて止めた。
「ガルちゃん! どうしたの? なんでそんなに荒れてるの?」
だが、可奈美に意思疎通の手段はない。
やがて、ガルーダを阻む手の感覚が消える。
すでにその体は消失し、可奈美の手には、ガルーダを召喚するのに必要な指輪を残すのみとなった。
「ガルちゃん……?」
「ククク……アハハ!」
それを見て、青年は頭を抱えて笑いだす。
「相変わらず、僕はハルト君には嫌われているようだね! 全く、お仲間同士なのに悲しいな……」
「あの……ハルトさんと何かあったんですか?」
ガルーダの指輪を無くさないように右手中指に嵌め、可奈美は尋ねた。
「なん
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