第二章
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もうすっきりしていた、百十キロを超えていた体重は七十キロを切っていた。それで彼はすらりとした顔と身体で笑顔でいたが。
同僚達はその彼に顔を曇らせて言った。
「痩せたのはいいけれどな」
「ちょっと匂うわよ」
「お前汗臭いぞ」
「そうなってるわよ」
「あれっ、そうかな」
言われてもだった、武者小路は。
自覚がなかった、それで同僚達に話した。
「俺は別に」
「匂いは自分では気付かないんだよ」
「そういうものよ」
「けれどお前本当に匂うぞ」
「臭いわよ」
「毎日シャワー浴びてるよ」
武者小路は顔を曇らせる友人達に答えた。
「洗濯もしてるし」
「いや、毎日スーツ着てるだろ」
「それで自転車乗ってるけれど」
「その時の汗がスーツに毎日滲み込んでな」
「匂いになってるのよ」
「だからな」
「スーツ自体が問題なのよ」
「えっ、そうなのか」
言われてだ、武者小路は驚いた。そのうえで自分のスーツを見回してそのうえで言った。
「ずっと着てるしな、このスーツ」
「五月からはじめて夏の間もだっただろ」
「夏の間もスーツで自転車で通勤してたし」
「汗かくからな」
「その汗ずっとスーツが吸っていたから」
「匂いするか、じゃあこのスーツ何年も着てるし」
このこともあってとだ、武者小路は言った。
「買い替えるか、それで新しいスーツにするか」
「ああ、そうしろ」
「それで自転車通勤でも考えてね」
「毎日着てるとその分汗吸うからな」
「それで匂う様にもなるから」
「そうだな、シャワー浴びて身体拭いても汗かいて服がその汗吸うんだ」
匂いがするそれをというのだ。
「それも毎日な、だったらな」
「気をつけろよ、そっちも」
「そうしたこともね」
「それもエチケットだからな」
「よくね」
「そうするな」
武者小路は頷いた、そうしてだった。
彼はすぐにスーツを買い替え暑い間は薄い生地のスーツでしかも上着を脱いで自転車に乗る様になりコロンもかける様にした。そうして匂いがしない様にした。するともう彼が匂うという者はおらずすっきりと痩せた彼だけがいた。
ダイエットもいいけれど 完
2021・10・19
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