第七話 「燕返」対「虎切」
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タナソードスキル「燕返」は、古流剣術「虎切」の前に敗れ去ったのである。
「……んだよぉ……んだよその技ぁ……」
先程までデュエルをしていたズムフトの街路のど真ん中で、しかし彼は人目もはばからず座り込んでいた。
「ハルくんえげつねー。パンピー相手にマジになっちゃってどーすんの」
『(゚o゚;』
「うっせぇ、煽ってきたのはクラインの方だ」
今回いいとこ一つもないグラントが、しかしおちょくりだけは絶好調とばかりに首を突っ込んできた。そしてちゃっかり便乗するトミィ。ハルキはいつものように呆れた表情でその盾男達に振り返り、そして彼の背後で先程以上に「なかまになりたそうなめでこちらをみている」金髪外人男オルスに苦笑いした。
「まあ、日本好きの外人には、これ以上ない接待だったんじゃないか?」
「おい……それじゃ、オレは当て馬じゃねえかよ……」
ドンマイクライン。負けるなクライン。デュエルでは負けちゃったけど。でもハルくんのその言葉は別に間違ってはいない……というかオルスさん、もう興味津々である。
「という訳で、うちのギルドに入りなさいな。いつでもこのプロソードマンの剣が見られるんだから、ね? ねー?」
いっその事オルスに直接ギルド勧誘申請を送ってしまえば手っ取り早かったのかもしれないが、そこはちゃんと了承をとらないといけない気がしているあたり、やはりグラント小心者である……残念ながら、そんな気遣い当人には全く伝わってないけど。
そんなグラント達を見て、クラインは思わず彼らの目の前に転がっている問題を一つ残らず、容赦なく投げかけた。
「……なあ、オメェたち、結局ソイツとどう話すつもりなんだよ?
オレ達のデュエルを見せて勧誘したまでは良いだろうけど、これから話も通じないんじゃどうしようもないぜ?」
「ほう、人族は一対一の決闘の事を『デュエル』と呼ぶのか……やはり人族の言葉は、私が思っていた以上に複雑な様だ」
「そういわれてもな、ウィンドウに手がかりがない以上俺達自身がどうこうできる問題じゃなさそうだし……おいグラント、やっぱりアルゴさんに情報売ってもらうしかないんじゃないか?」
「まあ、買うにやぶさかではないけど。
あれよ、夕食のデザートは当分没収よ? いいの?」
『Σ(゚Д゚|||)』
「……ちょっと待って。ハルくん、今変な声混ざってなかった?」
「え?」
「んあ?」
『(゚Д゚≡゚Д゚)?』
うん、確かに上と下で台詞の数が違う。話についていけてないだろうオルスを除く四人が慌てて周囲を見渡すが、その声の主を視認する事は出来なかっ……。
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