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魔法少女リリカルなのはStrikerS 前衛の守護者
第六一話 わかりあえない気持ち
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れだけでも充分な凶器である。

魔力を受けたアスカにダメージが蓄積されるが、それでも彼はジュエルシードに手を伸ばす。

「く……そ……よし、捕まえた!」

アスカの両手がジュエルシードを捕らえる。だが、指の間から漏れる魔力は収まる気配がない。

『ラピ!シーリングプログラム始動!封印開始!』

『了解!』

捕らえて、なお青い魔力に包み込まれているアスカが、己の白い魔力でそれを封じ込めようとする。

手の中で暴れるジュエルシード。それを抑えようとするアスカ。

青い魔力が容赦なくアスカを襲う。

「く……暴走なんか……させるかよ!」

最大限に魔力を加速させ、力を増大させるアスカ。

封印の力を反発させようとするジュエルシード。

その反動でアスカの手の肉が裂けた。

青と白の光の中で、赤い物が噴霧される。

「ナナシ!」

フェイトが悲痛な声をあげる。

「静まれ……ジュエルシード……静まれ!」

必死に封印作業をするアスカ。

なのははその姿をただ見つめる事しかできなかった。

青い光に包まれ、手を合わせる少年。

なのはの目には、その姿が光の中で祈りを捧げる聖職者のように写った。

「何で、そこまでして……」

光の中でジュエルシードと戦う少年を見て、なのはは呟いた。

自分にも戦う理由はある。そして、おそらくフェイトにも。

だが、この少年には、ここまで身体を傷つけてまで戦う理由があるのだろうか?

もしあるのなら、それはどんな理由なのか?

少なからず、なのはは少年の事が気になりだしていた。

「ジュエルシード、封印!」

バン!

短い衝撃があり、青い魔力の奔流が唐突に途切れた。

静まり返った爆心地に、アスカが立っていた。

ポタ、ポタ……

重ね合わせた手からは、血がしたたり落ちている。

手だけではない。

魔力に切り裂かれた腕や脚、それこそ体中にその傷はあった。

「ナナシ!」「このバカ!」

フェイトとアルフがアスカに駆け寄る。

「なんて無茶をするんだい!」

言葉とは逆に、アルフの目には心配の色が浮かんでいる。

「……」

アスカは手の中のジュエルシードを見て、そして、なのはに目を向けた。

「?」

その視線に、なのはが戸惑う。

「……こちらで封印しました。こっち預かり、でいいですね?」

落ち着いた少年の言葉に、なのはコクリと頷く。

「……は……い、フェ…イトさ……」

アスカはフェイトにジュエルシードを手渡そうとして、膝から崩れ落ちた。

「「ナナシ!」」

フェイトとアルフがアスカを支える。

少年は気を失っていた。


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