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レーヴァティン
第二百二十四話 大雪はその八

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「そやけどな」
「十三人だとな」
「手分けしてやっていけるし」
「今日のうちに終われるな」
「そうなるで」
「そうだな」
「戦のことだけじゃないっちゃ」
 愛実も仕事をしつつ言ってきた。
「他の政のこともっちゃ」
「あるな」
「そうっちゃ」
 こう言いつつ印を押していく。
「刑罰のこともあるっちゃ」
「刑罰はな」
「わかってるっちゃよ」
 愛実は囚人の刑罰の裁決を求める書を前にしていた、そこには。
 評定所が定めた入牢六年とあったがそこにだった。
 バツ印を入れてだ、入牢四年とした。
「軽くしたっちゃ」
「刑罰は極悪人でもないとな」
「軽くっちゃ」
「一等か二等減じる」
「そうするものっちゃ」
「悪くて現状維持だ」
「重くしないっちゃ」
 それはないというのだ。
「間違っても」
「した奴は起きた世界ではいるがな」
「あの人っちゃな」
「井伊直弼だ」
 幕末の大老だった彼だというのだ。
「拡大解釈をしてな」
「そうしたっちゃな」
「刑罰を重くしてな」
「死罪を濫発したっちゃな」
「蟄居もな」 
 この刑罰もというのだ。
「兎角だ」
「刑罰を重くしたっちゃな」
「幕府の慣例を破り」
 幕府を護ろうと思ってだ。
「そしてだ」
「沢山の人を死罪にしたっちゃな」
「頼三樹三郎にだ」
 陽明学者頼山陽の息子である、永牢という評定所の裁決を井伊直弼は死罪に重く書き換えたのである。
「橋本左内もだな」
「その人は遠島だったっちゃ」
「そうなる筈だったが」
 評定所もこれはかなり重い判決と考えていたがだ。
「死罪にした、吉田松陰もだ」
「やはり死罪にした」
「それで蟄居もっちゃ」
「濫発した、その結果だ」
「ああなったっちゃな」
「桜田門外の変でだ」
 この時でだ。
「首を取られた」
「そうなったっちゃな」
「それで同情の声はな」
「全くなかったっちゃ」
「当時からな」
 殺されたその時からだ。
「全くなかった」
「物凄く嫌われていたっちゃ」
 このことは明らかだとだ、愛実も述べた。
「だからっちゃよ」
「大変なことだったがな」
 江戸城の正門の前で大老が襲われ首を刎ねられたのだ、幕府にとってはまさに前代未聞の事件であった。
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