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魔道戦記リリカルなのはANSUR〜Last codE〜
Saga34三界の戦宴〜Crisis〜
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る二大国家に住まう魔族から“旦那様”と呼ばれることになった。すごいな、私・・・。
「シガオンケラハはわたくしが相手をしますので、旦那様方は見学なさっていてください」
「頼む」
ヘネットは最下層に存在する海中国家シュゼルヴァケティアの国防軍所属の魔人で、その実力は全盛期の私と同程度だが、有する神秘は圧倒的に彼女が上だ。私では倒し切れない天属や魔族ですらも余裕で倒せるだろう。シガオンケラハがヘネットに気付くと、体から生える氷塔から冷気を放出させつつ口を大きく開き、咆哮と共に吹雪の砲撃を発射。
「大人しく魔界へ帰りなさい、愚か者」
対するヘネットは右手を軽く振るい、地面からとんでもない量の水を噴出させて津波とした。氷と水であれば、水が一方的に凍らされて終わり・・・とはならなかった。凍結されても圧倒的な水量と水圧によってシガオンケラハの砲撃をねじ伏せる。水は奴らを押し流し、最後はドーム状の檻と化した。奴らは水の檻から脱出できず次々と溺れていき、最後は溺死体のようにぐったりしたことでヘネットは水の檻を解除。地面に横たわるシガオンケラハはピクリとも動かなくなっていた。
「ハロムエルもシガオンケラハも、これで終わりだな」
ハロムエルに攻撃を加えた炎。その術者が私たちの元へと降下してきた。トゥニカとトガを身に纏い、太陽の仮面を付けてた男性。私は彼に「ありがとうございます、エツヴァエル」と頭を下げた。彼は小さく頷き、地面でのたうち回るハロムエルを見下ろした。エツヴァエルは天属上級三隊熾天使に属する天使だ。実に頼もしい。
彼もそうだが魔族のヘネットがなぜ同族である天使や魔族と戦うのか。それにはもちろん理由がある。両勢力内で内乱が起きているのだ。始まりは天界で起きた内乱。天使を束ねる者、神が反逆者によって斃されたのだ。反逆者は不干渉となって久しい魔界の制圧、魔族の掃討を掲げ、さらに人類の完全支配を目論んだ。もちろん神の仇を討たんとする勢力と衝突するのは必然だった。
(魔族も魔族で、抗戦ついでに人類の魂を自分たちの
燃料
(
えさ
)
にしようと企んでいた勢力が活発化。魔界の勢力を真っ二つに割った)
そんな最悪な状況下で表層世界の人類が滅びていない理由がこれ、天属・魔族内に味方がいる、だ。エツヴァエルやヘネットも暗黙の三界不干渉賛同派で、人類の味方をしてくれている。
「ご迷惑をお掛けしましたね旦那様。全魔獣属の長であるウリベルト様の方からシガオンケラハ一族の長に罰を下していただくよう、リルメリア様にお伝えしておきます」
『我からも謝罪を、人の王。反逆者が迷惑を掛けた』
「いえ。・・・やはりトドメは・・・?」
のたうち回るたびに地面を大きく揺らすハロムエル6頭は、ヘイズヘイムの民にとっては迷惑極まりない。それを判
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