帽子の青年
[1/5]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
「ようこそ!」
煉獄は、腕を組んだまま、はっきりとそう告げる。
「よもやよもやだ! よく来てくれた! さあさあ、こちらに着いて! オススメはこちらだぞ!」
「どうした!? さあ、どうぞこちらへ!」
「そうか! それはとてもうまいぞ!」
「お客様! いらっしゃいませ! さあさあこちらへ!」
「れ、煉獄さん! ここはそんなに大声出さなくていいから!」
声が大きな新人へ、可奈美が慌ててフォローに入る。
「ここは、穏やかに穏やかに! そんなにブワってやらなくてもいいから!」
「ふむ! ブワってやればいいんだな!」
「だから違うって! あ……ごめんね、ほむらちゃん」
ずっと門戸で立ち止まっている中学生の少女へ、可奈美はほほ笑んだ。
暁美ほむら。
見滝原中学の生徒であり、聖杯戦争の参加者でもある少女。
最強クラスのサーヴァント、キャスターを従える彼女は、これまで可奈美やハルトとも何度も対立し、時には共に戦ってきた。
そんな彼女は、時折情報収集のためだろうか、ラビットハウスに訪れる。
「……何なの? この店員」
ほむらは目を細めながら、煉獄を睨む。
だが、煉獄はそんな状況にあっても、決して折れることはなかった。
「うむ! 初めましてだな! 私は……」
「わーっ! 煉獄さん! 自己紹介はいいから案内して! ほら、ほむらちゃん! こちらへどうぞ」
可奈美は悲鳴を上げながら、ほむらを案内する。
ほむらは数秒煉獄を睨み、
「……松菜ハルトはどうしたの?」
「今は丁度市場へ仕入れに行ってるよ。そういえば、遅いなあ……どこかでサボってるんだねきっと。その……」
今、彼女が何か動きをすれば、今の自分に食い止める手段がない。
警戒の心を思い浮かべた可奈美だが、ほむらはすぐに首を振った。
「……別に、こんな真っ昼間から殺し合いなんてする気はないわ。キャスターもいないし」
「そう。よかった」
可奈美は安堵の息を吐く。
だが、ほむらは可奈美を見ることなく、ずっと入口に突っ立っている煉獄を睨んでいた。
「キャスターの索敵能力で、この前不信な魔力を感じたって言ってたけど……まさか、新しい参加者なの?」
「う、うん……」
可奈美は頷いた。
すると、煉獄は尋ねられてもいないのに名乗りを上げた。
「うむ! セイバーのサーヴァント、煉獄杏寿郎だ! よろしく頼む!」
「……よろしくされる理由もないのだけど……」
ほむらは目を細めながら言った。
「貴方といい、衛藤可奈美といい……忘れてない? 私達は殺し合う間柄なのよ」
「気にするな!」
あまりにも堂々とした発言に、ほむらは言葉を失った。
「戦わなけれ
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ