帽子の青年
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だと結構苦労するんじゃないかなって思ったんだけど」
「あー……うん。昨日までの俺も、同じこと考えてたよ」
「?」
可奈美が首を傾げる。
だが、そんな可奈美の思考は、別の声によって遮られた。
「おっ! 可奈美だ! お久お久〜!」
ハルトの後ろから、元気な挨拶が聞こえてきた。
青いボブカットの、可奈美と同じくらいの年の少女。彼女はハルトを通り越して店内に入る。
「……アンタ……」
「……」
そして、ほむら。
彼女はコーヒーを口にしながら、優雅な恰好でさやかを見つめていた。
「美樹さやか……まさか貴女がここに来るとは思わなかったわ」
「そりゃこっちのセリフだよ転校生! 結構洒落た喫茶店に入り浸るんだね」
それ以上、二人の間に会話はなかった。
ほむらも静かにコーヒーを飲み、さやかも大股でカウンター席に座る。
「うっしゃあ! 今日はハルさんの奢り! 右から左まで全部頼もうか!」
「え? ハルトさん、何かあったの?」
可奈美が驚いた目線をハルトに投げかける。
ハルトはげんなりしながら説明した。
「甘兎庵でたかられたんだよ。……気にしないで。俺が出すから」
ハルトはそう言って、可奈美と入れ替わりでホールに入る。
「さてと。えっと……」
ハルトは手で、豆が入った容器を取る。
「何がいい?」
「一番高い奴で」
「オッケー。一番安い奴ね」
「ちょっとォ!」
さやかの悲鳴を無視して、ハルトはラビットハウスのオリジナルブレンドを淹れる。
普段と変わらないコーヒーと、さらにサンドイッチをパッパッと作って皿に乗せる。
「……はい。ランチセット。試験お疲れ様。本当に俺の奢りでいいよ」
「おおっ! ありがとハルさん! やっぱり言ってみるもんだね!」
さやかは大喜びで手を合わせ、サンドイッチを手に取る。
「うんうん! 美味しい美味しい!」
「……」
ニコニコ笑顔のさやかを、ハルトはぼうっと眺めていた。
「さやかちゃん、凄い食べっぷりだね……あ、そうだハルトさん」
さやかの食事を眺めていると、可奈美はふと思い出した。
「今さっき、ハルトさんのお友達が来てたよ」
「友達? それ、可奈美ちゃんが知らない人?」
だが、ハルトの顔は明るくなることはなかった。むしろ、首を傾げながら続けた。
「可奈美ちゃんが知らない、俺の知り合いなんて、見滝原にはいないはずだけど……?」
「え? そんなこと言われても、実際にその人ハルトさんのこと知ってたんだよ」
「……誰?」
ハルトが、だんだん怪訝な表情になっていく。
可奈美は脳裏に思い浮かべた、さきほどの客のことを伝えた。
「前に一度フ
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