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不落戦艦「キイ」〜宇宙戦艦ヤマト2202・鋼鉄戦記〜
第1話 建艦前史
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た。ですが本艦は波動砲に頼らずとも十分な火力を有しております。基本コンセプトとしては、低脅威の紛争において少数の機動艦隊旗艦として、波動砲に頼らずに戦術的勝利を収める…波動砲は確かに戦略的勝利をも得る事の出来る兵器ですが、構造上防御面で大きな欠陥を有しておりますし、管理コストも相応に高い。一応改造で後から波動砲を搭載できる様に設計しておりますが、基本的にショックカノン主体で戦う運用が求められますね」

 近代化などの改造工事で波動砲を後日装備できるという点で、波動砲搭載艦を主力とした波動砲艦隊構想を押し進める軍上層部を納得させた牧野の手腕は確かであり、真田のサポートもあったとはいえこうして計画を現実のものとしたことは正当に評価すべきであろう。

「そうか…しかし、『例の装備』の搭載はまだなのか?こうして建造が決定されたのも、それの試験艦を造るためなのだからな」

「それにつきましては、現在世界各地で適合者を探してもらっているところです…確かに、今政府と防衛軍が進めている計画に思うところはありますが、今は現在の地球が求めるものを開発し、生産していくべきでしょう」

 牧野はそう説明しながら、豊田とともに設計図を見つめるのだった。

・・・

西暦2202年10月8日 日本国鹿児島県大隅市 大隅中央病院

 ガミラスの遊星爆弾攻撃後、首都機能は鹿児島県地下の極東管区中枢都市である大隅市に移され、コスモリバースシステムによる環境再建後も、遊星爆弾の直撃で壊滅した東京都が完全に再建されるまでの首都として、大隅市地上区が整備されていた。
 そしてその市街地の中心部にある中央病院のとある病室。そこでは、一人の女性が病床に身を横たえていた。

「調子はどうですか?」

 診療に訪れた医師が尋ねる中、女性はただ静かに窓の外に広がる大都市の街並みを見つめていたが、不意に彼に顔を向け、平然そうな表情で尋ねる。

「…先生、私はあと何年…いえ、何日生きられますか?」

 女性の問いに、医師は思わず息がつまる。どの様に答えようか迷っていたその時、女性の方からさらに質問が投げかけられる。

「…家族は皆、遊星爆弾で死に、私もその影響でいつ死ぬのか分からない状態…自分の身体の事は自分が一番分かっています。本当のところはどうなのでしょうか?」

「…」

 ガミラスとの戦闘で受けた病に侵されている女性は、いつ危篤状態に陥ってもおかしくない様子であるにも関わらず、それを左程気に留めていない様な素振りで尋ね、医師は思わず目を泳がせる。
するとその時、一人の背広姿の男が入室し、女性に話しかけてきた。

「…子竜乙姫(しりゅう おとひめ)さんですね?」

 突然現れた背広姿の男に、女性―子竜乙姫は思わず眉を顰める。一方で医師は
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