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FAIRY TAIL〜水の滅竜魔導士〜
予想外の戦法
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が下端であるがゆえに、手柄を立てたいという気持ちが先行してしまった証拠なのだろう。

カタッ

そんな彼らの思いが通じたのか、見張っていたその蓋がわずかに動く。それを見た瞬間、先頭で勝手に動いてしまった面々も、後ろでどうしようか迷っていた面々も一斉にそちらに視線が向く。

「来るぞ」コソッ
「これで捕まえられれば・・・」コソッ

その蓋が開きわずかにでも人の気配がしたらその瞬間に飛び付けば捕まえられる。そうすれば多少の作戦無視など帳消しにできる。彼らはそう考えていた。しかし・・・

ガタッ

「捕らえろ!!」
「「「「「オオッ!!」」」」」

扉が開いたと同時に人の手が見えたことで彼らは我先にと飛び掛かる。人ならば目先の手柄がすぐそこにあれば飛び付きたくなるのも無理はない。しかし・・・シリルはそれを読みきっていた。

ポイッ

見えたと思われた手には何かが握られていた。彼らはそれに気が付いていたが止まることはしなかった。いや、気持ちが先走っていた彼らにはそれができなかったといった方がいいかもしれない。

中の人から投じられた何か。それは飛び掛かったうちの一人に当たったかと思うと・・・

ドカァンッ

大きな音と共に火柱をあげて爆発した。
















「やれやれ・・・命令通り距離を取っておけば死なずに済んだものを・・・」

バリーザウィッチは深いため息をつきながら、数ヵ所で上がる火柱を見つめていた。彼はわかっていたのだ、ユウキがレオンをティオスと勘違いし攻撃しようとした時に使った爆弾魔水晶(ラクリマ)。それを敵である自分たちに不意を突いて使ってくると。だからこそ、仲間の命を危険に晒さないために出口との距離を取らせていた。その言い付けを破った彼らのことを考えるだけ、無駄だとすぐに思考を切り替える。

「しかし・・・話に聞いていたのと違うな。天使の子はトドメもさせないほどの心優しき少年じゃなかったのか?」

眉間にシワを寄せ、首を傾げる。自分が聞いていた人物と同じ行動とは思えない戦法。それが気になってしまったがゆえに、作戦の詳細を話さなかったこともまた事実。

(まぁ、聞かれても答える気はさらさらなかったが)

そんなことを思いながら目を閉じる。そこに映るビジョンを見て、彼は不敵な笑みを浮かべた。

「だがいい・・・天使の子は天使の味方。私と彼は敵にはならないということだな」

そう言いながら彼は誰もいないその部屋で、王座へと腰掛けるのだった。



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