予想外の戦法
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ができない。ここで彼女が離れれば作戦の成功率は大きく下がってしまうことは目に見えていた。それがわかっているからか、シャルルとセシリーも気が付かないフリを続けている。
「お?そろそろ時間みたいだな」
ウェンディの横にいた一人がそう言う。その声で我に返った彼女は集中力を取り戻そうと頭をブンブンと振った。
(今は考えても仕方ない!!とにかく私たちの任務を遂行しなくちゃ!!)
心のどこかでは不安を感じているものの、それを振り払うように彼女は深呼吸をした後、全員の方へと向き直る。
「皆さん、もうすぐ時間です。いつでもいけるように準備してください」
それに頷く面々。全員が忙しく準備を行いながら、妖精の三人は高まる鼓動を必死に抑えていた。
「誰も怪我人が出ないといいんだけど・・・」
「怪我ならまだいいわよ。もっとひどいことになりかねないからね」
「シリルの性格の悪さが出ちゃったよね〜」
そんな不安を口にする三人。一通り話し終えた彼女たちも、仲間たちと同じように準備へと取り掛かった。
ここは街の中・・・そこでは至るところに国王の部隊が配置されており、住民たちは何事かと不安を感じ、足早に自宅へと戻っていた。
「これだけ固めていれば問題ないだろう」
「それに周りに人がいる気配もない。本当に全員が地下から攻撃に出てくるんだろうな」
国王であるバリーザウィッチは自分たちのリーダーではあるが、どれだけ優れたリーダーであってもその言葉を100%信じきるのは難しい。ましてや、ここにいるのは下端であるため、本当に地下からの攻撃にだけ備えていればいいのかと不安を抱いていた。
しかし、周囲にいる住民は皆無。皆が自分たちに恐れをなして自宅に入っているこの状況で、ようやく彼の言葉を信じることができたのだった。
「しかし、出入口付近に近づくなってのはどういうことだ?」
「あれだろ?蓋が開いた時に近くにいたらUターンされるからだろ?」
「だったら隠れてた方が確実じゃないか?」
彼らはバリーザウィッチの指示通り地下通路の出口から離れたところにいる。しかし、ある程度の距離を置いているだけでそこまで離れているわけでもなければ、何かに隠れているわけでもない。これも彼の指示らしいのだが、それではあえて距離を開けている意味がわからなくなってしまう。
「確かに・・・ここからじゃ開いた瞬間見えるもんな」
「だろ?だったら近くにいた方がすぐに相手を捕まえられるんじゃないか?」
「それはいい!!」
彼らとしてはそれは善意だった。この配置の意図を話さなかったバリーザウィッチにも非はあるのだろうが、彼らは上司がいないことをいいことに動いてしまった。それは彼ら
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