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俺様勇者と武闘家日記
第2部
テドン
不思議な夜の町
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に謝る私とは対照的に、冷静に衛兵に尋ねるユウリ。
「ここは大罪を犯した者が入る牢屋だ。 即刻立ち去るがよい」
「大罪? いったいどういう罪を犯したんだ? こんな辺境の町で」
 だが、やはり私たちの声は聞こえないのか、衛兵はこれ以上何も言わず、じっとこちらをにらみつけている。 その圧迫感に、ただならぬ恐怖が襲った。それは彼の存在というよりもむしろ、この町全体の異質な雰囲気によるものに感じられた。
「何? 罪人と話がしたい? そんなの無理に決まってるだろ」
 いきなり衛兵が突拍子もないことを話してきた。そして、その会話が新婚夫婦とのやり取りだということに気づく。
「……まあ、伝言くらいなら、いいだろう」
 一体何を話したのだろう。そもそも、新婚夫婦がそこまでして罪人に伝えたいことって一体何なのだろうか?
 ユウリも衛兵の会話に興味津々の様子だ。なにか少しでも情報を得られまいかと、じっとやりとりを見据えている。
「……?? よくわからんが、そう言えばいいんだな?」
 そう言ってしばらくすると、衛兵はそのまま牢屋のある建物へと入っていったではないか。
「行くぞ」
 急いで衛兵のあとを追う私たち。だが、一瞬の判断が遅れたのか、寸前で建物の扉が閉まってしまった。
「くそっ、もう少しで部屋に入れたのに」
 ガチャガチャと、ドアノブを強引に回し続けるが、全く開く様子はない。
 ためしにユウリが魔法の鍵を取り出して鍵穴にいれてみたが、なぜか回ることはなかった。
「魔法の鍵でもダメなんて……」
 私が一人言ちると、ユウリは苦虫を噛み潰したように牢屋を睨んだ。そして、ふうと大きく溜め息をつくと、踵を返した。
「ねえ、もう疲れたし、今日はここで休んで、また明日にしない? 」
 タイミングを見計らい、先ほど思い付いた提案をしてみる。
「そうだな。 宿屋に行くか」
 意外にもユウリは、あっさりと了承してくれた。 よほど疲れがたまっているのだろうか。
 早速私たちは、町に一軒しかないと思われる宿屋へと足を運んだ。 外観はいたって普通の宿屋である。 扉を開けると、それほど広くはないがシンプルなつくりのロビーが目に入った。
「いらっしゃい。 おや、旅人さんかい? 」
 カウンターには、宿屋の主人と思しき中年の女性が立っている。 彼女はニコニコと笑みを浮かべながら、私たちを歓迎してくれた。
「はい。 あの、二人なんですけど、今夜一晩泊めていただけ……」
「しかも随分若いねえ。 恋人同士かい? 」
「違います! 私たちはただの旅の仲間で、今夜一晩……」
「へえ。 もう結婚しているのかい。 それじゃあ上の階が一部屋空いてるから、手狭だけどそこを使っておくれ。 はいこれ、鍵」
「いや、だから……」
 宿屋の女主人は話を一方的に進
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