第2部
テドン
不思議な夜の町
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おかげか、今まで一度も魔物に襲われたことはない。だから、安心してこの町にいるといい」
「テドンの北にある山脈は、ネクロゴンド火山帯とも言ってな、噴火が絶えないんだ。まあ、さすがにここまでは噴火の影響はないが、もし道中近くに寄ることがあれば気を付けた方がいい」
どうやらここテドンはネクロゴンドに近いが、魔王による被害は今のところないらしい。
けれど肝心の魔王の城の場所まではわからなかった。 尋ねてもその言葉には耳を貸さず、ただ関係ない話を一方的に答えるだけ。そんな状況にジレンマを抱えつつ、刻一刻と時間は過ぎていった。
そんな中、通りすがりの青年二人が、こんな気になる会話をしていた。
「くそっ、イグノーの奴、カリーナさんとあんなに仲良くして……! カリーナさんもなんであんな奴の世話ばかり焼いているんだ!!」
「そりゃあ、イグノーって奴が毎日町外れの彼女の家までわざわざ足を運んでるからだろ」
「魔法使いだか僧侶だか知らないが、ちょっとおれたちより強いからって、調子に乗りすぎなんだよ、あいつは」
「だからって、あの人に無実の罪を着せるのはお門違いじゃないか? イグノーって奴も、あんなところに一人で住んでるカリーナさんのことを心配してるんだぜ?」
「いいんだよ!! どうせあいつはよそ者なんだから!」
「お前……。あとでバチが当たっても知らないぞ?」
「ふんっ! 当たるもんなら当たってみやがれってんだ!」
……なんだか聞いちゃいけないことを聞いてしまった気がする。
「ひどい人もいるんだね。自分の好きな人が取られそうだからって、相手に無実の罪を着せるなんて」
「ふん。下らない感情だな」
素っ気ない態度ではあったが、あの二人の会話を聞いて、ユウリもあまりいい気分ではないようだった。
それにしても、随分と歩き回ったせいか、足が痛い。 どこかで休める場所はないだろうか。 一応ヒックスさんには、二、三日中には戻る予定と伝えてきてあるので、ここに一晩泊まって、明日にでも船に戻った方がいいかもしれない。
そうユウリに提案しようとしたとき、ふと気になるものがあり目に飛び込んできた。
「ねえ、あれなんだろう? 」
私が指差すそのはるか先に、異様な建物が見えた。 町から離れたところにあるその建物は小部屋ほどの大きさで、四方が随分と堅牢な作りの石壁でできている。 町の一角にこんな建物があるのも不思議だ。
ユウリも気になったのか、その建物に近づいてみる。 間近で見ると、何となく物々しい雰囲気を醸し出していた。
「こら! そこで何をしている! 」
突然の呼びかけにびくっ、と反応すると、軽装鎧を身にまとい、手に警護用の槍を持った男の人が現れた。
「ごっ、ごめんなさい! 」
「一体ここは何の建物なんだ? 」
すぐ
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