最良のサーヴァント セイバー
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ば簡単だよ。君が、短期間で勝ち残ればいい』
当たり前のように、キュゥべえは断言した。
『他全てのマスター、サーヴァントを倒せば、君は見滝原を出られる。君の願いは……君とともにいる荒魂を助けたい、だね。いいよ。聖杯の力があれば、あの荒魂を……そうだな……人間にしてあげてもいいよ?』
「ッ?」
一瞬、ハルトの顔が歪む。
だが、すぐに美炎の「そ、そんなことできるの!?」という声に上書きされた。
『できるよ。君は、その願いで聖杯を満たせばいい。聖杯は、君の願いを満たせられるからこそ、参加者に君を選んだんだ』
無情に、キュゥべえは続ける。
「で、でもさ! そんな、戦ってまで叶えたい願いなんて……私にはないし」
『願いがないのに、聖杯に選ばれるなんてありえないよ』
「ッ!」
ハルトは、右腕をぎゅっと握った。
『君が大切にしている荒魂を、聖杯は救える。そのために、戦えばいいさ。そして……』
ようやくキュゥべえは、美炎の後ろに並ぶ煉獄を見つめる。
ぴょんと跳び、美炎の足元を歩いて近づいていく。
「セイバーのサーヴァント……此度の聖杯戦争では、ずいぶんと召喚が遅れたね」
「俺が言うのも何だが! 仕方あるまい!」
煉獄ははっきりと物申した。
「監督役! 君との会話の前に、マスターに一つ! 確認を取っておきたい!」
「え? わ、わたし?」
美炎が驚いて自分を指差す。
煉獄は続けた。
「安桜少女! 君が、あの少女を守りたいという気持ちは理解した! そして、そのために戦う力も持っているのも事実だろう! その上で問う! 君は、この聖杯戦争、他の参加者をその剣で斬ることができるのか!?」
大声の後で流れた、水で割ったような沈黙。
その中で、美炎は答えた。
「わたしは、難しいことはよくわからない。でも……いくらコヒメのためでも、他の人に御刀を向けることなんてできないよ」
美炎は、腰に付けている御刀、加州清光を見下ろした。
赤い鞘に収まっているそれは、先端が欠けている。彼女本人から聞いた話では、その破片は美炎の母親に刺さり、美炎の出産とともに消滅したらしいが、詳しくは知らない。
「上手く言えないけど……それじゃあ、コヒメが管理局に捕まらなくたって、絶対に笑顔でいられなくなる。わたしも、加州清光も、そんな結末望んでない!」
美炎は、「むしろ……」と御刀を抜く。
抜刀の音とともに、切っ先のない加州清光が、埃をかぶったステンドグラスの光を反射する。
「わたしは戦うよ! 皆の笑顔のために! 参加者の誰かとじゃない……聖杯戦争そのものと!」
「良く言った!」
美炎の発言に、煉獄は大声で言った。
「俺も、この
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