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レーヴァティン
第二百二十三話 奥羽に目をその十一

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「政としてだ」
「狼はどうしてもやないとな」
「狩る様に言っていない、ただ熊は人を襲うこともあるからな」
「人を襲う様やとな」
「狩る、そしてだ」
 そのうえでというのだ。
「その肉はだ」
「食うな」
「熊の肉も美味い」
 この世界に来て知ったことだ、実は熊の肉も野生の獣であるので匂いこそするが味自体は決して悪くないのだ。
「そうする」
「狩ったんならな」
「そのままにすることは勿体ない」
「ほんまにな」
「だからだ」
 それ故にというのだ。
「狩ったらな」
「肉は食うな」
「皮も骨もだ」
 そうしたものもというのだ。
「使う、そしてだ」
「全部やな」
「糧とする」
 ただ肉を食うだけでなくというのだ。
「それは猪も同じだ」
「猪も美味いであります」
 峰夫が応えた。
「あちらも」
「豚に近い味でな」
「元々豚は猪でありました」
 猪を家畜にしたものが豚である、だから豚も雑食であり間の子のイノブタという生きものも存在するのだ。
「ですから」
「味はな」
「近いであります」
「それは当然だな」
「そのことからも」
「猪を食うことはいいな」
「特に鍋は」
 牡丹鍋という、猪の肉を切って皿に盛り付けると色合いも含めて牡丹の花に似ているからこの呼び名になった。
「そうであります」
「そうだな」
「そして鹿も」 
 この獣もというのだ。
「食べてであります」
「美味いな」
「そうであります」
「俺は猪も鹿も好きだ」
 その両方がとだ、英雄は話した。
「だから狩ったらな」
「食べてもでありますか」
「いいことだ、ではな」
「獣もでありますな」
「民達には食ってもらう」
 そうしてもらうというのだ。
「内臓までな」
「先程から思っていたが」
 今度は幸正が言ってきた。
「随分内臓が好きだな」
「そのことか」
「そうだ、肉だけではないか」
「内臓はかなりの量があるからな」 
 その身体の中でだ、内臓だけでも結構な量があるのだ。
「それに栄養もだ」
「あるからか」
「それは知っているな」
「内臓は栄養の塊だ」
 幸正はルーの中の人参をスプーンに取った、そうしてルーと共に口の中に入れて噛みその味を楽しんで述べた。
「だからだ」
「食う様に言うか」
「民達に対してもな、そして俺もだ」
「よく食っているな」
「魚の内臓もだが」 
 それだけでなくというのだ。
「鳥や豚のものもな」
「牛のものもだな」
「そして猪や鹿のものもな」
「食っていてか」
「民も同じだ」
 彼等もというのだ。
「是非だ」
「食ってもらうか」
「そして健康になってもらう」
 腹を満たすだけでなくだ。
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