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レーヴァティン
第二百二十三話 奥羽に目をその九

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「栄養状態はな」
「かなり悪いですね」
「その辺りの草なぞ食ってだ」
 食べるものがなくだ。
「そしてだ」
「そのうえで、ですね」
「寄生虫が身体に多くいる」
「そうした惨状で」
「満足に戦えない」
 旧式の兵器で燃料もまともない状況であるともいうがそれ以前にだ、将兵達は碌に食べていないのだ。
「パンと水のみで生きられるかというが」
「まずパンと水がないとのう」
 当季も言った。
「どうにもならんぜよ」
「その通りだな」
「人はまずぜよ」 
 英雄にカレーを食べつつ述べた。
「こうして飲んで食ってぜよ」
「何とかなる」
「そうぜよ」
 まさにというのだ。
「だからぜよ」
「北朝鮮は問題外だ」
「それで将軍様だけ贅沢しちょる」
 世襲制の独裁者一人の為に国家予算の二割を使っているという、そして軍事費は二割五分に達している。
「さらに悪いぜよ」
「漫画みたいな話だな」
「全くぜよ、反面教師にすべきぜよ」
「俺達としてはな」
「それでぜよ」
 当季はさらに言った。
「まっこと野菜や果物、魚介類にな」
「穀物は基本としてな」
「乳に肉もぜよ」
「飲んで食うべきだな」
「そうぜよ、牛がまだ多くないなら」
 それならというのだ。
「鶏に豚ぜよ、あと羊もぜよ」
「食うべきだな」
「あの家畜もいいぜよ」
「そうだな、羊毛も使えるしな」
「それに肉もぜよ」
 こちらもというのだ。
「まっことよかぜよ」
「だからだな」
「あの家畜も増やしてのう」
「食うべきだな」
「そうぜよ、まあ狼や熊はのう」
「狼はいいな」
「狼は柵ばしちょって山に獣がいたら獣を食うぜよ」
 山にいる彼等をというのだ。
「だからかえってぜよ」
「狼はいて欲しいな」
「そうぜよ、狼は『おおかみ』ぜよ」
 カレーを食べつつ笑ってこの言葉を出した。
「『大神』ぜよ」
「即ち偉大な神だ」
「狼はよか獣ぜよ」
「俺達は農業にも力を入れている」
「だとするとぜよ」
「畑を荒らす獣は問題だ」
 鹿や狐、狸やハクビシン達である。
「あの連中を食ってくれるからな、狼は」
「だから柵をして番犬置いておけばいいぜよ」
「そうすれば狼は賢い」
「近寄らんぜよ、しかもこの浮島の狼はニホンオオカミぜよ」
 当季はこのことも指摘した。
「ニホンオオカミは山にいちょる」
「原にはそうそう来ない」
「だからそうそうぜよ」
「来ないな」
「人の後ろについて来るにしても」
 送り狼の語源である、ニホンオオカミには人の後ろについてくる習性があるのだ、これは人が縄張りを出るまで見張っているからだという。
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