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レーヴァティン
第二百二十三話 奥羽に目をその八

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「それで」
「豚肉もな」
「食べられていっています」
「元々薩摩や琉球で食っていてな」
「定着していて」
「他の地域でもな」
「食べられていっています」
「いいことにな、しかし」
 ここでだ、英雄はさらに言った。
「豚は牛に比べて増えやすいな」
「はい、確かに」
 良太もその通りだと答えた。
「そのことについては」
「ならカレーだとな」
「ポークカレーをですね」
「食える様にするか」
「そちらをですね」
「豚肉はいいものだ」
 実にとだ、英雄は述べた。
「多く作れてだ」
「安くしかも栄養がある」
「実にいい、しかも豚はあらゆる部分が食える」 
 身体のというのだ。
「まさに捨てる部分がない」
「その通りですね」
「内臓もだしだ」
 それにというのだ。
「耳までな」
「食べられますね」
「声以外は食える」
 まさに身体の全てをというのだ。
「だから民達にな」
「食べてもらいますね」
「豚をな」
 この家畜をというのだ。
「そしてな」
「強くなってもらう」
「その身体をな」
「左様ですね」
「いいものを食う」
「このことこそがですね」
「国の第一だ、民が常に餓えている国なぞだ」
 それこれというのだ。
「強い筈がない」
「そうした国は脆いですね」
「兵も弱いしな」
 常に餓えていてはというのだ。
「肥えた犬より餓えた狼の方が強いというが」
「餓え死にしそうだと」
「強い筈がない、動けなくて」
 当然餓えによってだ。
「戦う以前だ」
「そうした狼は」
「それは人も同じでだ」
「国もですね」
「民がいつも餓え死にそうなら」
 英雄は良太に話した。
「戦えるか、そして政もだ」
「出来ないですね」
「北朝鮮の様になる」
「あの国が強いか」
「そんな筈がない、国民の半数近くが餓えていてだ」
 一説にはそうであるという、この国の飢餓状態はそれこそ少なくとも四半世紀を優に上回るだけ続いている。
「どうしてだ」
「国民が働けて」
「軍人にしてもな」
「戦えるか」
「軍には優先的に食事を回しな」
「備蓄もしているそうですね」
「だが伝え聞くとな」
 鎖国体制の中から漏れ伝えるそれをだ。
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