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不落戦艦「キイ」〜宇宙戦艦ヤマト2202・鋼鉄戦記〜
序章 月の海にて
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不思議なぐらいであった。
「なんて化け物だ…こちらの全力攻撃に耐えたどころか、進路を変えながら反撃してくるとは…」
「…おのれ、ガミラスめ…!」
自分達の無力さに、多くの将兵が歯噛みする中、弾道ミサイルはそのまま大気圏に突入し、日本列島九州南部に向けて落下していく。そして間もなく地面に着弾しようとしたその時、弾道ミサイルは突然爆発した。
過去の地球各国が開発したどの核弾頭よりも明らかに強力である事を示す様に、非常に巨大なきのこ雲がその場に生じ、多くの将兵は作戦が失敗したのだと考えた。
しかしその時、艦隊艦艇の1隻が広域通信を垂れ流しながら騒ぎ出した。
『おい、あそこを見ろ!何か出てきたぞ!』
「何…?」
「あっ…少尉、あそこを!きのこ雲の中から何かが出てきてます!」
ジャックが指示した方にトーマスは目を向け、そして驚愕の表情を浮かべる。
弾道ミサイルが生じさせたきのこ雲の中より、1隻の宇宙船らしき船が出てくる。しかしその船は、国連宇宙軍のこれまでの艦艇とは姿が大きく異なっていた。青色がかった黒と赤の二色が映えるその船は、第二次世界大戦時の洋上艦に近い姿をしており、艦首側に2基、艦尾側に1基の巨大な三連装砲塔を備えたその姿はまさに『戦艦』そのものであった。
謎の宇宙船の出現に多くの将兵が言葉を失っていたその時、「キリシマ」より指示を出していた土方が広域通信で言葉を発し始めた。
『艦隊各艦に告ぐ。先程地上の作戦司令部より通信があった。敵弾道ミサイルは我が軍の最新鋭艦、宇宙戦艦「ヤマト」の迎撃により撃墜に成功した。これにて本作戦は終了する。各艦、これより地球を救うために16万8千光年彼方へと進む彼の艦を見送られたし』
「「ヤマト」…!?」
「少尉、「ヤマト」って確か、200年以上前に日本が建造した戦艦の名前ですよね!?まさかあんなものを極秘裏に建造していたなんて…」
突然現れた謎の宇宙船に、トーマス達国連宇宙軍将兵の多くは動揺を露わにする。無理もない、この時彼らは知る由もなかったが、宇宙戦艦「ヤマト」は極東管区が『オペレーション・イズモ』を隠れ蓑に極秘裏に建造したものであり、ガミラスに対する防諜の目的もあって、現在宇宙空間に展開している部隊には一切知らされなかったからである。
自分達の全力攻撃でさえ歯が立たなかった巨大弾道ミサイルを容易く撃墜した謎の宇宙戦艦はそのまま大気圏を突破して宇宙空間に到達。艦隊の真横を通り過ぎていく。その艦体は非常に大きく、トーマスは改めてその宇宙船らしからぬ外見に衝撃を覚える。その戦艦はまさに、自分達空母航空団は宇宙空間における戦闘では弱小な存在であるかの様に思い知らせていた。
「…あの「ヤマト」が宇宙戦艦となって蘇った
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